IT書面一括法とは?電子契約で知っておくべき法律について解説
電子契約サービス
2023.08.24
2023.08.24
電子契約に関する法律の一つにIT書面一括法があります。電子契約導入を検討しているのであれば、このIT書面一括法についても理解しておかなければなりません。 今回はIT書面一括法の概要や注意点、IT書面一括法以外の電子契約に関する法律について詳しく解説します。電子契約に関する法律を理解して、スムーズな電子契約の導入を進めましょう。
1. IT書面一括法とは
IT書面一括法の正式名称は、「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」です。
2001年4月に施行されました。この法律は、顧客保護の観点から書面の交付や提出が必要な書類でも、定められた条件をクリアした場合に電子メールやFAX、電子ファイルなどの使用を認める法律となっています。現在では行政手続きも、オンラインで必要書類など電子ファイルでアップロードすることによって手続きが可能です。
テレワークの急速な普及で日本はデジタル化が遅れていることが明確になりました。現在国をあげてデジタル化を進めていますが、証券取引法・旅行業法・下請代金支払遅延等防止法など、それぞれの規制がデジタル化を遅らせる要因の一つであることが浮き彫りとなっています。
IT書面一括法は、金融庁・総務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省の定める各法令を一括して改正することを目的とした法律です。
IT書面一括法は50条からなる法律ですが、各条文は「◯◯法を次のように改正する」と示すことで、それぞれの法令を改正することを目的としています。 各法令を改正すると、それぞれの改正に対して審議を行わなければなりませんが、IT書面一括法を施行したことにより、対象となる全ての法令でデジタルでの手続きが可能となりました。
もちろんどの書面に関しても、現在でも書面での交付は可能です。
2. IT書面一括法の注意点
対象となるさまざまな法令において、メールやファックスでの利用を認めるIT書面一括法。電子契約を導入するのであれば、この法律の概要に加えて知っておきたい注意点があります。 (書面での交付が必要となる文書などを説明)
2-1. 相手の承諾が必要
IT書面一括法はこれまで書面で交付していた書面に代えて、メールやファックス、電子ファイルなどを利用することを認める法律です。ただ、メールやファックス、電子ファイルを利用するためには、顧客など相手の承諾が必要となります。相手が承諾していないのに電子契約を行うのは違法です。電子契約を導入する際は、必ず相手の承諾を得るようにしましょう。
2-2. 書面での交付が必要な書類がある
IT書面一括法は、書面で発行していた書類の電子化を認める法律ですが、今でも書面での発行が必須となっている書類があります。書面での交付が必要な書類の代表的なものは、以下の書類です。
- 不動産の売買又は交換の媒介契約書
- 不動産の売買、交換、賃貸借の契約を締結する場合の重要事項説明書
- 不動産の売買又は交換の契約事項の書面 ・定期借地契約書
- 定期借家契約書
- 任意後見契約書
- 訪問販売等で交付する書面
これらの書類に関しては、必ず書面で交付しなければなりません。
誤って電子契約をすると法令違反になりますので、交付する書類が電子契約可能な書類かどうかは事前に確認するようにしましょう。
デジタル化が進む中で、これまで書面での交付が必要だった書類の電子化が認められたケースもあるため、今後もどの書類が書面での交付が必要なのかはアップデートされていくと考えられます。
3. IT書面一括法以外の電子契約に関する法律
電子契約に関連する法律はIT書面一括法以外にも存在しています。電子契約の導入を検討している場合は、IT書面一括法以外の法律に関しても理解しておきましょう。
3-1. 電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、これまで書類で作成していた請求書や納品書などの取引に関連する書類や、仕訳長などの帳簿書類を電子データとして保存する方法を定めた法律で、正式名称は「「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。
1998年に施行された比較的古い法律ですが、時代と共に何度か改正されています。 この法律で電子データでの保存が認められているのは仕訳帳や現金出納帳などの国税関係帳簿、貸借対照表や損益計算書などの決算関係書類、契約書や領収書などの重要書類、請求書・納品書・見積書などの一般書類など多岐にわたっています。
電子データは納税地で7年間保存することなどが要件です。欠損金の繰越控除をしている法人の場合は、最長9年間の保存が必要です。 この法律が施行されたことにより、帳簿や書類の管理が容易になるほか、紙でのやりとりをしないことによる業務の効率化、コスト削減、保管場所の削減などができるようになりました。
3-2. 電子署名法
電子契約に書面契約と同じ法的な効力を持たせることを目的とした法律が電子署名法で、正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」です。
電子契約の問題点として、本人以外の人が署名する可能性があるというリスクがあります。書面契約の場合は、契約書の押印を契約書本人がしたことの確認が容易であるとされてきました。
しかしデジタル化した今、契約書に署名したのが本人であるかの確認は難しくなっています。 この問題を解決する方法が電子署名法です。電子契約で署名する際、本人が署名したことが証明できる電子署名を用いることで、書面と同じ法的効力がある書類として認められます。電子署名は認証局において電子証明書を発行しなければなりません。
ただ、電子契約に電子署名が必須と定めている法律ではないため、電子契約の署名は電子契約サービスが提供している電子証明書を発行していない書類でも契約自体は可能です。書面契約と同じように法的な効力を持つためには、電子証明書を取得した電子署名が必要であるということを言及しています。
3-3. e-文書法
法人税法や商法、証券取引法などで保管が義務付けられている書類に関して、電子ファイルでの保管を認める法律です。
正式には「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の二つからなっており、電子文書法と呼ばれることもあります。
この法律は会計帳簿などの帳簿書類、貸借対照表や損益計算書などの決算書類、契約書、注文書や見積書などの一般書類、株主総会・取締役会の議事録や定款などの会社関係書類などの電子ファイル保存を認めるものです。
e-文書法は電子帳簿保存法と間違われやすい法律ですが、電子帳簿保存法は国税関連書類の電子データでの保存について定めています。e-文書法は国税関連以外のさまざまな法令に対する電子データの保存について定めている法律です。iT書面一括法のように、各法令の電子データ保存に関して一括で規定する目的で施行されています。
4. 電子契約導入の前に電子契約関連の法律を確認しよう
IT書面一括法は電子契約に関する法律の一つです。国をあげて官民のデジタル化を進めている今、施行されてしばらく経った法律も時代に合わせて改正が行われています。正しく電子契約を導入するためには、関連する法律をきちんと理解することが大切です。IT書面一括法を含め、電子契約に関する法律を把握し、スムーズな電子契約導入を進めましょう。
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