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取締役会議事録への押印は電子署名でも可能!認められた背景やメリットについても解説

電子契約サービス

2023.08.24

2023.08.24

取締役会議事録には、出席者全員の署名または記名押印が必要です。しかし、会社法の改正や法務省の通達により、導入ハードルが低い「立会人型」の電子署名も利用可能になりました。本記事では、取締役会議事録で電子署名が利用可能になった背景や、電子署名のメリットを解説します。

1.取締役会議事録とは?

そもそも取締役会とは、会社を運営するうえで重要事項を決定する、3名以上の取締役で執りおこなわれる会合のことです。 取締役会の設置は全ての企業に対して義務付けられてはいませんが、上場しているもしくは目指している企業であれば設置する必要があります。

取締役会を設置している企業は、3ヶ月に一度取締役会を開催し、「取締役会議事録」を作成する必要があります。

1-1.取締役会議事録は会社法で作成が義務づけられている

取締役会議事録は、文字通り取締役会の議事を記録した文書のことです。 取締役会を設置する企業に対する取締役会議事録の作成義務は、会社法第369条3項によって定められています。 いつまでに作成すべきかの決まりはありませんが、会社の登記事項に関する決議がおこなわれた場合には、2週間以内に作成して登記申請をおこなう必要があります。 また、取締役会議事録には出席者全員(取締役および監査役)の署名または記名押印が必要です。

取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

引用:会社法第369条3項|e-Gov法令検索

ただし、会社法第369条4項により、PDFなどの電子データで取締役会議事録を作成する場合は、「署名又は記名押印に代わる措置」も認められています。

前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

引用:会社法第369条4項|e-Gov法令検索

また、会社法第371条では、取締役会議事録は作成した日から10年間保管することが義務づけられています。

取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。

引用:会社法第371条1項|e-Gov法令検索

1-2.取締役会議事録に記載義務がある8つの項目

会社法施行規則第101条では、取締役会議事録に記載する必要がある項目が8つ定められています。[注1]

  • 取締役会が開催された日時及び場所
  • 取締役会が特別取締役による取締役会であるときは、その旨
  • 取締役会が特別の招集に該当するときは、その旨
  • 取締役会の議事の経過の要領及びその結果
  • 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名
  • 取締役以外が発言できる場合等により取締役会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
  • 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称
  • 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名

参照:会社法施行規則第101条|e-Gov法令検索

なお、Web会議システムなどを利用して取締役会をリモート開催する場合、取締役会の開催場所の代わりに出席方法を記載する必要があります。 取締役会を設置している会社は、会社法のルールを改めて確認しておきましょう。 [注1]株式会社における取締役会の議事録について|内閣官房

1-3.押印する印鑑の種類は?

取締役会議事録に押印する印鑑の種類には、法律上定めはありません。 実印を押しても構いませんが、認印で問題ありません。

ただし、登記申請において取締役会議事録を提出するような場合には、実印による押印が必要となることもあります。そのため、重要な決定事項をおこなう場合には、実印を用意しておくと安心でしょう。

2.取締役会議事録も押印に代わって電子署名が利用可能に

ここからは、取締役会議事録に電子署名が利用可能になった背景や、電子署名の有効性について解説します。

2-1.押印廃止などペーパーレス化に向けた動きが広がっている

取締役会議事録をはじめとした書面の電子化が進んでいる背景としては、新型コロナの感染拡大によるビジネス様式の変化により、テレワークが急速に普及したことが一つの要因として挙げられます。

政府はテレワークの推進の妨げとなっている「書面、押印、対面」の3つの手続きを廃止し、社会全体のデジタル化を進めるため、2020年7月に「書面、押印、対面を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言」を発表しました。[注2]

その一環として、取締役会をWeb会議上で開催し、取締役会議事録の押印に代わって電子署名を利用する企業も増加しました。

[注2]「書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の 抜本的見直しに向けた共同宣言 |内閣府

2-2.会社法の改正により電子署名が認められた

取締役会議事録に電子署名が利用可能になったきっかけは、2001年11月の商法改正により、取締役会議事録をPDFなどの電子ファイルで作成することが認められた点にあります。 それにより、会社法第369条4項で定められていた「署名又は記名押印に代わる措置」が、会社法施行規則第225条で「電子署名」と指定されました。

法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。

引用:会社法施行規則第225条|e-Gov法令検索

2-3.「当事者型」だけでなく「立会人型」の電子署名も利用可能に

これまで、会社法施行規則の「電子署名」は当事者が電子認証をおこない、電子証明書を取得する必要がある「当事者型」の電子署名と解釈されてきました。 しかし、2020年5月に法務省がこの方針を見直し、経団連などの主な経済団体に以下の内容の通知をおこないました。[注3]

法務省が取締役会の議事録作成に必要な取締役と監査役の承認についてクラウドを使った電子署名を認める。これまで会社法が容認しているかを明示する規定はなかった。新型コロナウイルスの感染防止策の一環で、署名や押印に関わる手続きを簡素にしたい経済界の要望を反映し、明確な方針を定めた。法務省が経団連など主な経済団体に通知した。認めるのは「リモート型」や「クラウド型」と呼ばれる方式だ。署名と署名に必要な鍵をサーバーに保管し、全ての手続きがクラウド上で済む。当事者がネット上の書類を確認し、認証サービス事業者が代わりに電子署名するのも可能となる。

引用:取締役会の議事録承認 クラウドで電子署名|日本経済新聞

この通知によって、利用者の負担が少ない「立会人型」の電子署名を利用して、取締役会議事録に署名することが可能になりました。 クラウド型の電子署名サービスが利用可能になったことによって、取締役会議事録を電子化する動きが強まっています。

[注3]取締役会の議事録承認 クラウドで電子署名|日本経済新聞

3.取締役会議事録に電子署名を利用する3つのメリット

ここからは取締役会議事録に電子署名を利用するメリットを3点紹介します。

3-1.効率的に押印作業ができる

取締役会議事録の押印を電子署名に切り替えれば、出席者全員の署名をオンラインで集められるため、Web会議システムなどを用いてリモートで取締役会を開催することができます。

「立会人型」の電子署名なら、メール認証などの簡易的な方法で本人確認をおこなうことができるため、署名の手間がかかりません。 これまでの取締役会議事録をリレー方式で回覧し、押印する方法と比べて、議事録の押印対応を飛躍的にスピードアップすることが可能です。

3-2.コスト削減ができる

取締役会議事録を電子データで作成すれば、印刷代や郵送費用などのコストを削減することも可能です。 取締役会議事録のみであればそれほどではありませんが、その他の書類に対する費用もかからないとなると、合計で大きなコスト削減につながります。

3-3.情報漏洩の防止に役立つ

書面でなく電子データで取り扱うことで、郵送における紛失や盗難を防ぐことができます。 また、電子署名であればタイムスタンプなどの技術が搭載されているため、第三者による改ざんが発生しにくくなります。

4.取締役会議事録の押印を電子署名に変更して業務を効率化していこう

取締役会議事録には、出席者全員の署名または記名押印が必要ですが、2020年5月に法務省の見解が発表され、現在は導入ハードルの低い「立会人型」の電子署名も利用できるようになりました。 取締役会議事録に電子署名を利用すれば、リモートで取締役会を開催しても、議事録作成を効率的におこなうことができます。 電子契約サービスを導入し、取締役会議事録の押印を電子署名に切り替えましょう。

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