電子署名で登記申請は可能?申請の流れをわかりやすく解説
電子契約サービス
2023.08.24
2023.08.24
不動産や法人の場合、所有者が登記を行って公示することで所有者を明確にします。この登記には、登記申請が必要ですが、登記申請は電子署名で行うことができるのでしょうか。 今回は電子署名での登記申請について詳しく解説します。電子署名での登記申請の流れや注意点も紹介しますので、これから登記申請をする予定の方はぜひ参考にしてください。
1. 電子署名で登記申請はできる?
結論からいえば、電子署名での不動産登記や商業登記、法人登記、動産譲渡登記、債権譲渡登記、成年後見登記は「登記・供託オンライン申請システム」を利用しての申請が可能です。 電子署名を使った手続きは、近年急速に法整備が進められています。これまで電子署名を使っての登記申請をする際には印鑑届の提出が必要でした。しかし、2021年2月15日に商業登記規則が改正されたことにより、印鑑届の提出が任意となり、申請手続きがより簡単になっています。
1-1. そもそも登記とは?
登記とは個人や法人の持つ権利を登記簿に公示し、所有者を明確にして保護するための手続きです。登記を行えば、資産や権利が守られ、安全な取り引きができます。登記の種類は以下のとおりです。
- 不動産登記:土地・建物の所有者などに関する登記
- 商業登記:会社の設立や情報変更等があった際の登記
- 法人登記:会社以外の法人を設立に関する登記
- 動産譲渡登記:在庫や機械設備などの譲渡を行った際に行う登記
- 債権譲渡登記:債権の譲渡があった際に行う登記
- 成年後見登記:成年後見人の設定などに関する登記
- 船舶登記:総トン数20t以上の船舶に対して行う登記
先述したとおり、2022年12月現在、登記・供託オンライン申請システムで電子署名を使って申請できるのは、商業登記、法人登記、動産譲渡登記、債権譲渡登記、成年後見登記です。
2. 電子署名による登記申請の流れ
登記にもいくつか種類がありますが、ここでは会社を設立する際や、会社に関する重要な情報を変更した際に行わなければならない商業登記の電子署名による申請の流れについて解説します。
2-1. 電子証明書の用意
これまで商業登記を行う場合は、法務局が法人の代表者に発行する商業登記電子証明書を取得しなければなりませんでした。ただし、2021年2月15日により、商業登記電子証明書以外にもマイナンバーカードに格納されている公的個人認証サービス電子証明書や、特定認証業務電子証明書のセコムパスポート for G-IDも利用できるようになっています。
商業登記電子証明書は、登記・供託オンライン申請以外にも、e-Tax(国税電子申告・納税システム)や社会保険・労働保険関係手続(e-Gov電子申請システム)などのオンライン申請を行う際に使える電子証明書です。 商業登記電子証明書を取得する流れを紹介します。
① 商業登記電子認証ソフトのインストール
商業登記電子証明書をオンラインで行うためには、法務局のホームページで商業登記電子認証ソフトをダウンロードし、インストールしておかなければなりません。ダウンロードは無料です。このソフトを使って、申請に必要な電子ファイルを作成します。 初めて商業登記電子証明書をオンラインで取得する場合、申請用総合ソフトもダウンロードしてインストールしなければなりません。また、事前に申請者情報登録も必要です。
② 電子証明書を用意する
商業登記電子証明書を取得するためには、マイナンバーカードに格納されている公的個人認証サービス電子証明書か、特定認証業務電子証明書のセコムパスポート for G-IDが必要になります。すでに商業登記電子証明書を取得している場合で、証明書が有効期間内の場合は、取得した商業登記電子証明書での取得申請が可能です。
③ 電子ファイルを作成する
商業登記電子認証ソフトを使って鍵ペアファイルと証明書発行申請ファイル(SHINSEIファイル)の二つの電子ファイルを作成します。 鍵ペアファイルに記録されているのは、電子証明書作成に必要な秘密鍵と公開鍵のデータ、証明書発行申請ファイルに記録されているのは会社情報・代表者情報・公開鍵のデータです。 商業登記電子認証ソフトに表示される手順に従って作成しましょう。
④ 電子ファイルを送信する
電子ファイルが作成できたら、登記・供託オンラインシステムに証明書発行申請ファイルを添付したものに、申請人の電子署名を付与して送信します。
⑤ 手数料を支払う
商業登記電子証明書の発行には手数料が必要です。インターネットバンキングかモバイルバンキング、もしくはATMで手数料を支払います。手数料は、証明書の期間によって以下のように決まっています。
証明期間 | 3カ月 | 6カ月 | 9カ月 | 12カ月 | 15カ月 | 18カ月 | 21カ月 | 24カ月 | 27カ月 |
手数料 | 1,300円 | 2,300円 | 3,300円 | 4,300円 | 5,300円 | 6,300円 | 7,300円 | 8,300円 | 9,300円 |
証明期間が長いほうが証明書の取得頻度を減らせますが、証明書の内容に変更が生じた場合は新しい情報で取得し直さなければなりません。
その点も考慮して、証明期間を決めましょう。 登記・供託オンライン申請システムに電子ファイルを送信すると、電子納付情報が発行されます。電子納付情報が発行されてから、おおよそ2日以内に支払いが必要です。
⑤ 電子証明書の取得
手数料を支払うと、申請総合ソフト上の商業登記電子証明書の処理状況が「手続終了」に変わり「お知らせ」内に商業登記電子証明書のシリアルナンバーが記載されています。 商業登記電子承認ソフト上で「電子証明書の取得」を選択し、事前に作成した鍵ペアファイルやシリアルナンバーを入力して、「電子証明書取得実行」を選択しましょう。これにより、商業登記電子証明書が取得できます。
2-2. 申請書情報の作成
法務局が提供している申請用総合ソフト、もしくは民間事業者が運営しているサービスで、登記申請に必要な申請書情報を作成します。申請用総合ソフトを使用する場合は、テンプレートがありますので、適切なものを選んで、電子署名を添付しましょう。 添付書面情報として選択できるのは、以下のいずれかです。
- 署名付きPDFファイル(.pdf)
- ビットマップイメージファイル(.bmp)
- XML電子公文書ファイル(.xml)
2-3. 申請データの送信
登記・供託オンライン申請システム上で、作成した申請データを送信します。問題なく送信が完了した場合は「到達・受付のお知らせ」が取得できますので、必ず確認しましょう。
2-4. 登録免許税・登録免許税・登記手数料の納付
「到達・受付のお知らせ」を取得したら、インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATMなどでの電子納付か、禁輸期間の窓口で登録免許税・登録免許税・登記手数料を支払いましょう。支払いが完了したら、登記申請終了となります。
3. 電子署名による登記申請の注意点
電子署名による登記申請を行う際に注意しておきたいポイントを紹介します。
3-1. 申請内容の間違いは期限内にのみ補正・取り下げができる
登記・供託オンライン申請システムで送信した申請者情報や、添付書面情報に間違いがあった場合は、期限内に限り情報の補正や取下書情報の作成が可能です。補正・取り下げを行う場合は、申請用総合ソフト上から行います。
3-2. 登記申請の種類によっては専門の電子証明書が必要なケースも
登記申請の内容によっては「官職証明書」「指定公証人電子証明書」など、専門の電子証明書が求められることもあります。専門の電子証明書が必要にもかかわらず、間違って申請を行うと、手数料の返還手続きを行わなくてはならず、手間がかかってしまいますから注意しましょう。わからないときは、司法書士など専門家に相談するようにしてください。
4. 電子署名を使った登記申請で手続きをスムーズに
電子署名を使った登記申請を行えば、印鑑届書の提出の必要はありません。また、マイナンバーカードに格納されている公的個人認証サービス電子証明書か、特定認証業務電子証明書のセコムパスポート for G-IDを電子証明書として利用することもできます。 申請の手続きに手間がかからなくなりますので、これから登記申請を行う方は、電子署名を使った登記申請も検討しましょう。
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