印紙代は折半できる?負担割合や折半の注意点を解説
電子契約サービス
2023.03.28
2023.03.28
法律で定められている条件に該当している場合、契約書や受取書、証書といった文書を作成する際に収入印紙を購入して貼り付ける必要があります。このときにかかった印紙代が、印紙税として納められる仕組みです。 本記事では、印紙代の折半について、負担割合や注意点を詳しく解説します。
1. 印紙代は折半できる?
作成する際に印紙代が必要となる書類が、課税文書です。課税文書を作成するにあたって、納税の必要が出てくる印紙代を作成する側と受け取った側のうち誰が負担すべきなのかは、印紙税法によって決められています。[注1]
印紙税法の第3条によれば、印紙代は課税文書の作成する側に納める義務があるとしています。加えて、共同で作成した場合については、双方に印紙代を納める義務があるともしています。
よって、課税文書を共同で作成したのであれば、携わった当事者全員で折半が可能です。課税文書の共同作成についての判断についても、専門的な観点から理解しておかなければいけません。
印紙税法基本通達第44条によれば、文書の作成はその目的を行使するタイミングであるとしています。[注2]
これに基づくのであれば、たとえば不動産売買について契約書を作成する場合、売る側と買う側の意思が合致していることを証明するのが目的です。よって、双方が署名と捺印をすることで文書の作成が完了します。共同で課税文書を作成したとなるため、双方で印紙代を負担します。
[注1]印紙税法|e-Gov法令検索
2. 印紙代を折半するときの負担割合
印紙代を折半するにあたって、その適切な負担割合について確認しておきましょう。印紙代を折半する際の負担割合は、民法で定められています。[注3]
民法第485条、558条によれば、契約を締結するにあたって必要となる費用は、当事者双方が当分で負担するように定めています。
たとえば、2者間の取引で契約書をそれぞれが保管できるように2部作成するのであれば、それぞれで収入印紙を購入する必要があるため、自然と折半になります。
一方で、原本を1部だけ作成し、ほかの当事者はコピーを作成する場合についてはどうなるでしょうか。先に挙げた民法に基づくと、印紙代は折半されるべきです。コピーを保管することになる当事者に対して、発生する印紙税を折半して負担するように特約を規定しておくと、トラブルがないでしょう。
同様に、課税文書のなかで特約を設けて特定の当事者のみが印紙代を負担するよう記載することが可能です。ただし、立場が弱い相手が一方的に負担がかかるような特約を設けてしまうと、下請法や独占禁止法で問題となるかもしれません。
[注3]民法|e-Gov法令検索
3. 印紙代を折半するときの注意点
印紙代を折半するにあたり、覚えておきたい注意点について確認しておきましょう。
3-1. そもそも印紙代がかかるケースとかからないケースについて
そもそも印紙代を必要とするケースとしないケースについて、見直してみましょう。印紙代が必要なのは、印紙税法第2条で定めた「課税物件」に該当する文書です。[注1]
20種類の文書が該当しますので、作成している文書が該当するか確認しましょう。
この20種類に該当しない文書は、印紙代は不要です。例として、見積書や納品書、請求書といった書類が当てはまります。
また、20種類の文書に該当していても、それぞれで印紙代が不要となるルールが設けられているケースもあります。たとえば、請負についての契約書を作成する場合、そこで動く金額が1万円に満たないのであれば、印紙代は不要です。
3-2. 印紙代は原本だけにかかるとは限らない
課税文書を作成する際、必ずしも当事者全員分の原本を作成する必要はありません。原本を1部のみ作成し、あとはコピーを作成してほかの当事者たちはそれを保管することが可能です。
原本を複数作成すると、それだけ印紙代がかかってしまいます。コピーであれば、その分の印紙代について印紙代はかかりません。契約書のコピーは、基本的に課税文書として扱われないためです。
ただし、契約書のコピーについても印紙代を要するケースも存在します。印紙代が必要となる課税文書は、契約が締結されたことを証明するために作成されたもので、一方の当事者あるいは全員の署名および捺印がなされたものと定義されています。よって、そのコピーの契約書がこの定義に当てはまる場合、課税文書として扱われ印紙代が必要となります。
以下、コピーも課税文書に該当する条件です。
- 原本と相違ないことを指す記載が本文にある
- 契約の締結を証明するために2部作成し、当事者が各自1部ずつ保管するという記載が本文にある
- 割印が押されている
- コピーにも一方の当事者や全員の署名および捺印がされている
契約の締結を証明するために本書を1部作成し、甲が保管するといった記載があるのであれば、コピーに印紙代は不要です。加えて、署名や捺印がされていないコピーについても、単に原本をコピーしたものなので、課税文書としては扱われません。
3-3. 印紙代をまったくかけずに課税文書を作成する方法がある
課税文書であっても、印紙代をまったくかけずにその書類を作成する方法があります。課税文書に該当する書類であっても、それが電子データで作成されたものなのであれば、印紙代はかかりません。[注4]
電子データによる契約などの取り交わしは、課税文書の作成には該当しないためです。しかし、電子データによって契約を取り交わしたあと、その現物を持参する場合については印紙代がかかります。
もし、印紙代を節約したいのであれば、電子契約の導入を検討してみてもよいでしょう。
[注4]請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁
4. 課税文書を作成するにあたってかかる印紙代は折半が可能
課税文書を作成するにあたって、納めなければいけない印紙税が発生します。その金額は、その契約で扱う金額によって異なります。
たとえば請負に関する契約書については、100万円以下のものについては200円ですが、その金額が大きくなるにつれ高額になっていき、1億円を超えたものについては10万円となります。
印紙代による負担は大きくなる可能性があるため、適切な形で当事者がそれぞれ負担するようにしましょう。また、印紙代を節約するために、電子契約の導入を検討するのもおすすめです。
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