監査役会議事録とは?記載すべき内容や電子署名についても解説
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2023.08.18
2023.08.18
会社法では、規模の大きな会社は必ず監査役会を設置することを義務づけています。 また、同法では監査役会を開くにあたって、監査役会議事録を作成することとしています。 監査役会議事録には法務省令で定めた内容を記載する必要がありますので、あらかじめ作成のルールを確認しておきましょう。 今回は、監査役会議事録の概要や、議事録に記載すべき内容、監査役会議事録における電子署名について解説します。
監査役会議事録とは
監査役会議事録とは、監査役会の記録を文字にして残すものです。
監査役会とは、常勤の監査役の選定や解職、監査報告の作成、監査の方針およい監査役会設置会社の業務・財産の状況調査の方法などを決定する役割を担う会議のことです。
会社法第328条では、大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社および氏名委員会等設置会社を除く)は、監査役会の設置が義務づけられています。
この監査役で議論された内容や取り決めた事項を記録し、社内で共有したり、備忘録として活用したりするのが監査役会議事録の主な目的です。
会社法第393条では、監査役会の議事について、法務省令の定めに基づいて議事録を作成することを義務づけています。
そのため、監査役会を開く場合は、監査役会議事録を作成する準備を整えておく必要があります。
監査役会議事録に記載すべき内容
監査役会議事録に記載すべき内容は、会社法施行規則第109条の3で以下のように定められています。[注1]
- 監査役会が開催された日時および場所
- 監査役会の議事の経過の要領およびその結果
- 以下3つの規定によって述べられた意見または発言の内容
○法第三百五十七条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項
(法第四百八十二条第四項において準用する場合を含む)
○法第三百七十五条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項
○法第三百九十七条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項
・監査役会に出席した取締役、会計参与または会計監査人の氏名・名称
・監査役会の議長がいる場合は、議長の氏名
なお、取締役や会計参与、監査役または会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、会社法第395条の規定により、監査役会への報告を省略できます。
その場合、監査役会の議事録には、以下3つの事項を掲げた内容を記載することになります。
- 監査役会への報告を要しないものとされた事項の内容
- 監査役会への報告を要しないものとされた日
- 議事録の作成に係る職務を行った監査役の氏名
監査役会議事録における電子署名
会社法第393条の3では、監査役会議事録について、電磁的記録をもって作成することを容認しています。
ただし、正式な監査役会議事録として認められるためには、「法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置」をとることを義務づけています。
ここでいう「法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置」とは、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)によって定められた電子署名のことです。
電子署名は、電磁的記録に記録された情報が作成者本人によるものであることと、当該情報について改変が行われていないことを証明するための措置で、書面における記名・押印の代わりとなります。[注2]
会社法では、書面で作成した監査役会議事録について、出席した監査役員の署名または記名押印を義務づけているため、議事録を電子データとして作成・保存する際は、それに代わる電子署名を付する必要があります。
[注2]電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
議事録への電子署名に対する法務省の見解
電子署名は、署名の方法やデータ形式によってさまざまな種類に分類されています。
かつて電子データした監査役会議事録に付する電子署名は、ICカードやパソコンに格納された、作成者本人が管理する鍵で署名する「ローカル署名」で行うのが一般的とされていました。
しかし、法務省が2020年5月22日開催の「第11回 成長戦略ワーキング・グループ」に提出した「論点に対する回答」では、電子署名法第2条に規定する要件を満たしていれば、クラウド署名であっても電子署名に該当するものであると解される、という見解を出しています。[注3]
クラウド署名とは、クラウドやサーバーなどのリモートに置いた、本人またはサービス事業者の鍵を使って署名する方法のことです。
ローカル署名の場合、作成者自らが認証局に依頼し、電子証明書を発行する必要がありました。
一方、クラウド署名は利用者(議事録の作成者)の指示を受けたサービス事業者が、自身の鍵を使って電子署名を行う仕組みになっています。
作成者本人がいちいち電子証明書を取得する必要がないため、より手軽に電子署名できるところが大きな特徴です。
特に昨今はテレワークの推進や新型コロナ感染防止対策により、監査役会をオンラインで行う企業も増えてきました。
オンライン会議の録画データをもとに議事録を起こし、そのまま電子データ化した監査役会議事録にクラウド型署名を行えば、簡単に会社法の要件を満たした議事録を作成・頬感することができます。
[注3]第11回 成長戦略ワーキング・グループ 議事次第 資料1-3論点に対する回答 p2|内閣府
クラウド型電子署名に移行した場合の変化・メリット
監査役会議事録を電子データ化し、クラウド型サービスで電子署名する方法を採用すると、以下のような変化やメリットがあります。
リモート会議に対応できる
紙ベースの監査役会議事録を作成する場合、出席した監査役はこれに署名または記名押印しなければなりません。
テレワークを導入している会社の場合、議事録に署名または記名押印するためだけにわざわざ出社しなければならず、監査役に大きな負担をかけることになります。
クラウド型署名なら、オンライン上で電子署名できるので、署名や記名押印のためにわざわざ出社する必要はありません。
管理が楽になる
会社法第394条では、監査役会議事録について、監査役会の日から10年間にわたって監査役会設置会社の本店に備え置くことを義務づけています。(※注1)
これは、監査役会設置会社の株主に、当該書面または電磁的記録の閲覧または謄写を請求された場合に備えるためです。
監査役会の開催頻度は会社によって異なりますが、1~2ヵ月に1回くらいのペースで行われていることが多いようです。
仮に月1回ペースで監査役会を開催した場合、10年間で120部もの監査役会議事録を保管しなければなりません。
紙ベースの監査役会議事録をプリントアウトしてファイリングする手間がかかるのはもちろん、10年もの歳月が経過すると議事録を紛失するリスクも高くなります。
電子データで作成した監査役会議事録にクラウド型電子署名を付与すれば、印刷やファイリング、検索の手間が省け、管理が楽になります。
情報共有しやすい
監査役会議事録を作成するのは、会議の参加者や関係者と会議の内容を共有するためです。
ただ、紙ベースの監査役会議事録は本社に保管されているので、閲覧・謄写するにはやや手間がかかります。
クラウド型署名を付した電子データの監査役会議事録なら、オンライン上で内容を確認できるので、閲覧にかかる手間を省略できます。
監査役会議事録は電子署名を付して電子化するのがおすすめ
監査役会議事録は、監査役会の設置を義務づけられている大きな会社にとって、必ず作成しなければならない書類です。
監査役会が開催されるたびに議事録を作成し、参加した監査役の署名または記名押印を付するとなると、かなりの手間と時間がかかってしまいます。
特に昨今はリモート会議も普及しているので、監査役会議事録は電子データとして作成した上で、クラウド型署名を行った方が作成・管理の手間を省けるでしょう。
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