DX推進のための取り組み内容や6つの手順と成功のポイントを紹介
DX
2023.11.21
2023.11.21
社会情勢やグローバル化・デジタル化する市場の現状から、自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)について焦りを感じている企業は増えています。とはいえ、「どのような取り組みが必要か分からない」という担当者・経営者は多く、アナログ式の企業形態から抜け出せずにいる企業も少なくありません。そこで本記事では、DXを推進していくために必要な取り組みや手順、さらには成功のポイントをまとめました。
DXとは
DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。日本語に直訳すると、「デジタル技術による(生活やビジネスの)変革」です。文脈によって、その意味合いが大きく違うため、DXは、広義と狭義でそれぞれ意味を持っていることを理解する必要があります。一番初めにDXを提唱したスウェーデン・ウメオ大学教授エリック・ストルターマン(Erik Stolterman)氏が、DXについて以下のように定義しています。
ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる
参照:Information Technology and The Good Life(2004,Erik Stolterman Umea University,Sweden)
こちらが広義で社会的文脈の時のDXの定義となります。
次にビジネスなどの文脈で使われる狭義のDXについて説明します。
2018年に経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン(Ver. 1.0)」では、DXについて以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
参照元:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義やメリットを解説
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、企業においては、デジタル化によるビジネスモデルの変革や、それによる競争力の向上を意味します。この記事では、DXの定義や、DXが必要とされる背景、DX推進の方法など、DXの基本をわかりやすく解説します。
DX推進のために取り組むべき内容とは?
未だDXに着手していない企業は早急な対応が必要ですが、具体的にはどのようなことから取り組んでいけばよいのでしょうか。 DX推進のため、変革・見直しすべきポイントを紹介します。

DXのメリット・デメリットとは?注意点やポイントを紹介!
この記事では、DXのメリットやデメリットについて解説します。近年注目を浴びているDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、企業のDX推進には、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、逆に、DXを推進することによるデメリットはないのか気になる方も多いのではないでしょうか。
ビジネスモデルの変革
DXとは、「デジタル技術を前提として」ビジネスモデル・プロセスを構築することです。現状アナログ式のビジネスモデルを維持している企業は、ビジネスモデルそのものを見直して、「デジタル技術による収益構造」に転換していく必要があります。
デジタル技術を使ったビジネスモデルとしては、あらゆる商品やサービスをクラウド上で提供する「as a service化」(略称:XaaS)」、D2C(Direct to Consumer)の「ECプラットフォーム」、課金提供型の「サブスクリプションビジネス」などがあり、選択肢は豊富です。自社の強み・市場の現状等を踏まえ、競争力の高いビジネスモデルを選択しましょう。
業務プロセスの見直し
DXでは、従来の作業工程をデジタル化して、効率アップを図ることも必要です。デジタル技術を導入し、コア業務以外の業務を効率化することで、コア業務にあてる時間をふやすことができます。
近年は人事・営業・マーケティング・経理等のバックオフィスツールや、社内チャット・会議用のビジネスチャットツールが充実しています。既存のシステムと連携しやすく、拡張に対応できるものを選べば、業務効率が一気にアップするでしょう。
組織の再構築・意識改革
DXは組織の根幹に関わる変革であり、企業の形態によっては組織の再構築が必要となります。統合できる部門・廃止する部門等を検討し、デジタルありきで組織を最適化していかなければなりません。
加えて、DXを着実に進めていくためには、専門のチーム・部門の設立が必要です。メンバーには経営トップも加わり、トップダウン形式で強くDXを推進していきましょう。また、DXを完遂するためには、社員の団結が必要不可欠です。トップが強くDXの必要性を伝え、全社的に「DXを進めていく」という意識を浸透させましょう。社員の足並みがそろわないことには、効率的なDXの推進は難しくなります。
リソース配分の見直し
企業のデジタライゼーションが進めば、リソースの配分も変わってくるはずです。まず、デジタル化によって人の手が減れば、人件費が削減できます。システムをクラウド化すればオンプレミスサーバーの保守・管理コストも削減され、投資コストを他に回せるでしょう。
従来のリソース配分を維持したままでは、デジタル化後の現状にアンマッチです。企業のビジネスモデル・プロセスにマッチした効率的な配分を、再検討しましょう。
DXを取り組むにあたり何から始めるべきか
DXは企業の体制そのものをデジタル化する必要があり、推進には時間がかかります。取り組みは計画的におこなわれるべきであり、ステップを踏んで進めていくことが必要です。DXに取り組む際に、踏むべき手順を紹介します。
下記の記事では、DXの戦略におけるワークフローやロードマップの作り方を説明しているため、ぜひチェックしてください。
1. デジタル前提のビジョン・経営戦略の明確化
DXでは、「デジタル技術を用いてどのような価値観を生み出していくか」「どのような経営戦略を策定するか」を明確にすることが必要です。
明確なビジョンや目標がないままにDXを進めてしまうと、「システムをデジタル化して終わり」「データをデジタル化して終わり」となるケースが少なくありません。
これではDXと言えず、単なるデジタライゼーションで終わってしまいます。
DXのゴールが定まっていれば、システム化の具体的な道筋を描きやすくなります。社員も各フェーズで自身が何をすべきか判断しやすくなり、DXが効率的に進むでしょう。
2. 予算・人員の確保
DXを進めていくためには、DXのための予算・チームが必要です。DXでは、新システムの導入や既存システムからのデータの移行、新体制の確立等で予算が必要となります。ITスキルの高い人員の確保も必要なため、早めに人材を選定し、または外部リソースによる補充などを検討しなければなりません。
3. デジタル化のための体制作り
DXは全社的におこなう取り組みのため、「一部門に兼務させる」ようなスタイルは好ましくありません。長期プロジェクトになることを予想して、先述の通り専門のチームを立ち上げて対応しましょう。 メンバーはITスキルが高いことが望ましいですが、ITリテラシ―だけではなく、部門間の折衝や交渉も必要です。コミュニケーションスキルが高くリーダーシップのある人材が必要です。
4. 現状分析・課題の把握
企業の業務やデータをデジタル化するため、現状・課題の把握が必要です。以前に導入したシステムを長く使っている場合、システムの要件や仕様がブラックボックス化している可能性もあります。DXを進めていくうえで障害になりそうなものがないか明確にしておきましょう。
また、現在の業務プロセスをチェックして、デジタル化できるもの・できないものに仕分けることも必要です。部門で業務プロセスが重複しているものや属人化しているものについても洗い出し、デジタル化できるように調整しなければなりません。
5. システム・データのデジタル化
デジタル化できる業務・データが明確化したら、システムの選定をおこないます。DXではオンプレミス型よりもクラウドサーバーを使うクラウド型が主流です。拡張性・連携性が高く、自社のニーズや既存システムと相性のよいものを選びましょう。
ただし、自社のシステムがレガシー化・ブラックボックス化している場合、データの移行には莫大な時間とコストがかかります。対処法については安易に決めず、トップ・専門家・ベンダー等と話し合い、慎重にデータの移行・取り出し方法を検討しましょう。
6. 新しいビジネスモデルの創出
業務プロセスを自動化したり、データをクラウドサーバーで共有したりしただけで「DXが終わった」と考えてはいけません。DXを完遂するには、それらを生かして新たな価値を創出していくことが必要です。最初に設定したゴールの達成に向け、実際にデジタルデータやシステムを活用していきましょう。
また、最も理想的なのは、自社だけでなく関係企業も連携し、業界全体の最適化・デジタル化を目指すことです。取引企業と積極的にデジタル化について話し合うことが、新たなビジネスモデル・プロセスを生み出すこと・ひいては業界全体の活性化にもつながるでしょう。
アンケートから見る日本企業のDXの取組状況とは
IPAが令和2年の5月に発表した『デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査』によると、アンケートに答えた企業全体の内の41.2%の企業がDXの取組を実施していると回答をしました。 ただ、課題として大きく分けて2つあります。
参照:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査
日本の企業のDXへの取組に対する課題①
1つ目が、従業員の規模別に取り組みを見てみると、格差があることです。100名以下の企業ではDXに取組んでいる企業は、3割に届いておらず、企業規模でDXの取組に対し差が出ております。
日本の企業のDXへの取組に対する課題②
2つ目が取組の内容です。取組比率が相対的に高い従業員規模1,001名以上の企業においても、成果が出ている取組内容としては業務効率化による生産性向上が中心となっていることです。
「企業文化や組織リマインドの根本的な変革」の成果があった企業は1001名以上の企業で11.7%。「現在のビジネスモデルの根本的な変革」は、7.6%となっております。まだまだ成果や取組に課題が残っております。
DXの取り組みを成功させる4つのポイント
ここでは、DXの取り組みを成功させる4つのポイントを紹介します。
目的を明確にする
DXを推進するうえでまず取り組むべきことは、なぜDXを実現するのか、目的を明確にすることです。目的を明確にしないまま取り組むと、DXの効果を正しく検証したり、改善をおこなったりすることができません。
また、ITツールを導入すること自体が目的となってしまい、DX推進が失敗に終わってしまう恐れがあります。そのため、まずは現状の課題を洗い出し、DXの意味を正しく理解したうえで目的を明確にすることが大切です。

DXの目的とは?目的が必要な理由や具体例を紹介!
最近よく耳にする「DX」ですが、「DX」とはどのような目的のために、なぜ必要とされているのでしょうか。この記事では、DXの定義・目的や、目的の必要性、DXの進め方についてわかりやすく解説します。また、職種別や組織別に区分してDXの目的例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
DX人材を育成・確保する
DXを進めるには、新しい技術の知見をもつDX人材を確保する必要があります。しかし、少子高齢化やIT需要の高まりの影響もあり、社会全体でDX人材は不足しています。
そのため、外部から確保するのが困難な場合もあります。その場合、従業員にDX推進に必要な知識やスキルを身に付けてもらい、自社でDX人材を育成するのも一つの手です。

リスキリングとは?メリットや導入のポイント・事例を解説!
近年では、IT技術の急激な発展の影響もあり、DXを推進したり、DX人材を育成したりするために、注目を集めているのが「リスキリング」です。しかし、リスキリングという用語を聞いたことはあるけれど、具体的な意味はわからないという方は多いのではないのでしょうか。 リスキリングとはどのような意味やメリットがあるのかを解説します。また、リスキリングの具体的な実施方法や企業の取り組み事例も紹介します。
経営陣がコミットする
経営陣がDXの重要性や目的を把握していない場合、予算や人員を確保したり、DX推進組織・体制を構築したりする必要性を理解してもらえず、スムーズにDXを推進することができません。
そのため、まずは経営陣がDX成功の鍵を握っていることを把握し、DXの取り組みをリードすることが大切です。経営部門や事業部門、情報システム部門など、全社が一丸となって取り組むことで、DXを実現させることができます。
スモールスタートで進める
いきなり全社的にDXを推進しようとすると、目的が達成できなかったときのリスクを考えて、DXを進めることを断念してしまうこともあるかもしれません。しかし、DXの取り組みをおこなわなければ、競合他社に差を付けられ、事業を継続できなくなる恐れもあります。
まずはデジタル化しやすい業務や部署から段階的にDXを進めてみるのもおすすめです。この段階で試行錯誤を繰り返し、DX推進のノウハウを蓄積することで、スムーズに全社へと拡大させていくことができます。

DXの進め方とは?7つのステップや社内での注意点を詳しく解説
世界中の市場が急速にデジタル化していく中、企業のDXの必要性はますます高まっています。 経済産業省が「DX推進ガイドライン」を示し、DXの必要性を訴えていますが、特に中小企業ではDXの進め方のイメージがつかず、アナログな社内フローや事業モデルを持っていることも多くあります。 本記事では、DXの必要性や進め方・ステップ、DXを進めていくうえでの注意点をわかりやすく解説します。
DXに取り組んでみよう!
DXのための取り組みは全社的におこなう必要があり、多くの場合組織変革・事業モデル変革を伴います。完遂には長い時間がかかるため、早急に取り組みを始めましょう。
ただし、DXではゴールの設定が非常に重要です。システム・データをデジタル化しただけで満足せず、「それによってどのような価値を生み出せるか」まで検討しておかなければなりません。
まずは自社の課題・強みを明確化し、DXにどのようにアプローチしていくべきか考えてみてはいかがでしょうか。
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