DXの目的とは?目的が必要な理由や具体例を紹介!
DX
2023.11.21
2023.11.21
最近よく耳にする「DX」ですが、「DX」とはどのような目的のために、なぜ必要とされているのでしょうか。この記事では、DXの定義・目的や、目的の必要性、DXの進め方についてわかりやすく解説します。また、職種別や組織別に区分してDXの目的例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
DXとは?
ここでは、DXの定義と目的やDXが注目される理由、DXとデジタル化について詳しく紹介します。
DXの定義と目的
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、激しく変化するビジネス環境に柔軟に対応するため、デジタル技術を活用して業務・組織・ビジネスプロセス・企業文化に変革を起こし、競合優位性を獲得したり、新たな価値を生み出したりすることを指します。
経済産業省が発表しているDX推進指標のサマリーでは、DXの目的を次のように定義しています。
DXの目的は競争力強化であり、DXによって経営がどのように変わったか、競争力強化が実現できているかを定量的に表す指標としては、通常の経営指標を活用することが有効。
DX推進指標(サマリー)p.5
DXを進める際に目的を意識しないと形だけのDX推進になってしまいかねないので、注意が必要です。
関連記事:DX推進の必要性とは?導入するメリット・デメリットを解説
DXが注目される理由
DXが注目される理由の一つとして、経済産業省の発表したDXレポートにおける「2025年の崖」が挙げられます。(※1)複雑化・老朽化・ブラックボックス化したレガシーシステムをこのまま使い続けると、2025年以降の経済損失は最大で12兆円/年におよぶ可能性が示唆されています。
また、経済産業省は「2025年の崖」の問題解決のために、企業のDX推進を促せるよう「デジタルガバナンス・コード2.0」を公表しています。(※2)「デジタルガバナンス・コード2.0」には、企業の価値や生産性向上に向け経営者が押さえておくべき事柄がまとめられています。
このように将来の経済損失を防ぐために、経産省は警鐘を鳴らしており、DXの注目が高まっています。
(※1)DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

2025年の崖とは?人材不足などの問題点や解消方法もわかりやすく解説
「2025年の崖」とは、2018年に発表された経済産業省の「DXレポート」によって指摘された言葉です。DX化に取り組まず、現状のシステムの問題点を解消しない場合、2025年には約12兆円の経済損失を受ける可能性があると危惧されています。この記事では、2025年の崖」とは何か、なぜ2025年なのかについてわかりやすく解説します。
DXとデジタル化の違い
DXと似た意味をもつ用語に「デジタル化」があります。デジタル化とは、AIやクラウド技術、ビッグデータといったデジタル技術を活用して、業務をアナログからデジタルに切り替えることを指します。
DXとデジタル化の違いは「目的」にあります。デジタル化の目的は、コストの削減や業務の効率化です。一方、DXの目的は、デジタル技術を活用して組織やビジネスモデルに変革を起こし、新たな価値や事業を生み出すことにあります。
そのため、デジタル化はDXの手段の一つです。DXの目的をデジタル化の目的と勘違いしてしまうと、DXを上手く推進できない可能性があるので注意が必要です。

DXとデジタル化の違いやそれぞれの定義を分かりやすく解説
既存のアナログ業務をデジタルにする「デジタル化」に対し、ICTやデジタル特性を活かして新たなビジネスモデルを生み出すことをDXといいます。デジタル技術を用いて画期的なビジネスモデルを展開する新規参入者が増えている今、既存起業のDX推進は急務とされています。
DXに目的が必要な理由とは
DXを実現するために目的が必要な理由は、適切なDX推進をおこなうためです。目的を明確にしない状態でDXを推進しようとすると、施策が曖昧なまま進んでしまう可能性があります。
場合によっては、デジタル技術の導入が目的となってしまう恐れもあります。ITツール導入やデータ収集などは、DX推進の手段でしかありません。
そのため、経営方針やビジョンに従って正しくDXを推進するために、目的の明確化が必要になります。
関連記事:DX推進の必要性とは?導入するメリット・デメリットを解説
【職種別】DXの目的の一例
DXを推進する目的としてはさまざまなことが考えられ、部門や組織によってDXに期待することは異なります。
ここでは、職種別にみたDXの目的例について、詳しく紹介します。
人事・経理部門
人事や経理は、採用や決算などの非常に重要なデータを取り扱うことが多いですが、それらの多くは紙で処理されているのが現状です。
紙での処理の場合、記載や入力によるミスが発生しやすく、在宅勤務やテレワークを導入する際の障壁になってしまうことも考えられます。
そのため、人事・経理部門のDXの目的として、ミスの防止や多様な働き方の推進が挙げられます。たとえばデータを電子化し、承認手続きをシステム上でおこなうことで、ミスを減らしたり在宅勤務やテレワークをスムーズに推進したりすることが可能になります。
営業・マーケティング部門
営業やマーケティング部門におけるDXの目的の一例として、売上を向上させるために、顧客とのコミュニケーションを円滑化することが挙げられます。
たとえば、自社のホームページにチャットボットを導入することで、顧客対応の負担を軽減することができます。チャットボットの活用はこれまでにはなかった顧客とのチャネルを増やすことにもつながります。
また、顧客管理システムを導入することで、顧客情報の管理を効率よくおこなえるため、顧客満足度の向上や売上の増加が期待できます。
関連記事:営業のDXとは?その意味や成功させる4つのポイントを解説
開発部門
開発部門では、よりよい商品やサービスを提供するために、顧客からの要望を適切にキャッチアップすることがDXの目的の一例として挙げられます。顧客からの要望は商品・サービスの開発や改善に不可欠ですが、活用することは簡単ではありません。
そこで、AIやビッグデータといったデジタル技術を活用してデータの収集・分析をおこなうことで、顧客のニーズを正確に把握し、商品・サービスの開発や改善に活かすことができます。
【組織別】DXの目的の一例
ここでは、組織別にみたおけるDXの目的例について詳しく紹介します。
中小企業でのDXの目的の例
中小企業では利益を出すために、事務作業を効率化させて人件費などのコストを削減することがDXの目的の一例として挙げられます。
業務自動化ツールを導入してルーティン作業を自動化したり、紙の書類を電子化してオンライン上で管理したりするといった施策が考えられます。
定型作業を自動化できれば、従業員は他の業務に時間を充てることができるかもしれません。また、電子データを活用すれば、情報共有がスピーディーになり、生産性の向上が期待できます。

中小企業こそDXを取り入れるべき理由と導入する際のポイント
経済産業省が発表した「DXレポート」によると、DXが実現できない場合、2025年以降1年で最大12兆円の損失が生じる可能性があるといいます。日本の中小企業は企業数の99.7%を占めており、社会に与える影響も大きいといえます。中小企業こそDXを取り入れるべきです。本記事では、日本の企業を支える中小企業がDXを取り入れる理由と導入する際のポイントなどを解説します。
大企業でのDXでの目的の例
大企業では蓄積された膨大なデータを活用して、既存事業の改善や新たなビジネスの創造に役立てることがDXの目的の一例として挙げられます。そのためには、蓄積されたデータにあわせたITツールの選定・導入が重要になります。
たとえば、人事データを活用したいならば「タレントマネジメントシステム」、顧客データを活用したいならば「顧客管理システム」の導入がおすすめです。このように自社にあったITツールを導入してデータを上手に活用することで、新たな課題やビジネスチャンスの発見につながる可能性があります。

DX化に役立つツールを紹介!一覧や選定ポイントを解説
DXを推進するにあたっては、さまざまなツールの導入を検討する必要がありますが、ツール未経験であれば、どれを導入すべきかで悩んでしまうこともあるでしょう。ツールを比較検討する際に、どういったポイントを重視すればよいのか、どういった点に注意すればよいのかが分かっていれば、的確なツール選定をおこなうことができます。本記事では、DXツールの選定ポイントやDXツールを選定時の注意点について説明します。
DXを推進するための4つのステップ
ここでは、DXを推進するための4つのステップについて紹介します。
1. 自社の現状や課題を把握して目的を明確にする
先述したように、DXを推進するには「目的」が重要になります。目的を明確にするにあたって、まずは自社の現状を確認して、課題を洗い出すことから始めましょう。
また、将来的にどのようなことを実現したいのか、ビジョンを描くことも重要です。自社の現状とビジョンの差が課題であり、DXを推進する目的にもなります。
2. 人材の確保や組織体制の構築をおこなう
目的が明確化されたら、それを実現するための人材を確保したり、組織体制を構築したりする必要があります。
DXを推進するための組織編成は、IT部門を拡張する方法や専門組織を新たに設置する方法などさまざまであり、自社にあった方法を採用することが大切です。
また、DX人材を外部から確保するのが難しい場合には、従業員に知識やスキルを習得してもらい自社で育成するのも一つの手です。

DX推進を成功させる組織体制とは?必要な役割や組織変革のポイントを解説!
企業や組織がDXを成功させるには、組織自体が変容する必要があります。なぜなら、旧態依然とした組織では、DXのトレンドに合致しないからです。実際にDX推進組織の編成に成功し、DXを上手く推進している事例も数多くあります。この記事では、DX推進組織の必要性や編成パターン、必要とされる役割と能力、作り方のポイントをわかりやすく解説します。
3. ITツールを導入してデジタル化を進める
組織編制をおこない施策を実施する準備ができたら、実際にITツールを導入してデジタル化を進めましょう。
ITツールを導入する際、自社の規模や従業員のITリテラシーなどを考慮したうえで選定することが大切です。
また、目的を実現するための機能が備わっているかもきちんと確認しましょう。ITツールの導入後はマニュアルを用意するなど、従業員が安心してシステムを操作できるような体制を準備しておくことも重要です。
4. 定期的に評価と改善を実施する
ITツールの導入・運用など、施策を実施したら、定期的に評価をおこない改善を実施することが大切です。たとえば、ITツールの操作が難しく社内に定着しなかった場合、プランを変更したり、新しいITツールに切り替えたりする必要があります。
このように、継続的にPDCAサイクルを回すことで、目的達成に少しずつ近づくことができます。また、DXは長期的な取り組みであることも押さえておきましょう。

DXの進め方とは?7つのステップや社内での注意点を詳しく解説
世界中の市場が急速にデジタル化していく中、企業のDXの必要性はますます高まっています。 経済産業省が「DX推進ガイドライン」を示し、DXの必要性を訴えていますが、特に中小企業ではDXの進め方のイメージがつかず、アナログな社内フローや事業モデルを持っていることも多くあります。 本記事では、DXの必要性や進め方・ステップ、DXを進めていくうえでの注意点をわかりやすく解説します。
DX推進において目的が重要であることを忘れてはならない
DXはITツールの導入など、デジタル技術を取り入れること自体が目的ではありません。そのため、DXの定義や意味を正しく理解し、なぜDXを推進するのか、その目的を明確にすることがDXの推進を成功させるために必要不可欠です。
DXは部門が抱える課題や問題に対して推進されることもあれば、全社的な課題や問題に対して推進されることもあります。どちらの場合でも、抱えている課題やDX導入の目的をしっかり定め、適切なステップを踏むことで、DXをよりうまく推進できるでしょう。
企業のみなさまへ
あなたもDXログにサービスを掲載しませんか?
あなたもDXログに
サービスを掲載しませんか?