コールセンターの応対品質管理や向上のためのポイントを解説
CTI・コールセンターシステム
2023.05.23
2023.05.23
コールセンターは、顧客と企業の大切な接点の一つです。コールセンターでの対応次第では、企業全体の印象が良くも悪くもなるため、応対品質を慎重に管理しなければなりません。必要に応じて、応対品質を向上させるためのシステムを導入したり、オペレーターを教育することも重要です。 この記事では、コールセンターの応対品質とは何か、応対品質を測定するポイント、応対品質を向上させるための方法などについて解説します。
コールセンターの応対品質とは
コールセンターの応対品質とは、顧客が電話をかけてからオペレーターによる対応が終わるまでの、通話全体の品質のことです。応対品質がよければ顧客満足度は上がり、企業全体の印象も良くなることが期待できます。
逆に応対品質が悪ければ、大きなクレームにつながり、収益が下がる可能性もあります。 応対品質は、電話のつながりやすさ、オペレーターによる対応の丁寧さや正確さなどの項目に分けられます。 それぞれの項目について、簡単に確認しておきましょう。
1.電話のつながりやすさ
顧客がコールセンターに電話をかけたときのつながりやすさは、応対品質における重要な項目の一つです。聞きたいことがあるのになかなか電話がつながらず、もどかしい思いをした経験がある人も多いでしょう。
顧客をあまりにも長く待たせると、たとえオペレーターがよい対応をしたとしても、満足度は低下してしまう可能性があります。顧客が待っている時間は、コールセンター側としては把握しにくい部分ですが、応対品質に大きく影響するため注意が必要です。
2.オペレーターによる対応の丁寧さ
オペレーターによる対応の丁寧さも重要なポイントです。正しい言葉や敬語を使えているか、会話のスピードや声の大きさは適切か、声のトーンは聞き取りやすいかといったオペレーターの話し方によって顧客の満足度は大きく変わります。
また、話を聞く姿勢も大切です。いくら丁寧な敬語を使っても、顧客の話を遮ったり、意見をむやみに否定したりすると、応対品質は下がってしまうでしょう。逆に、クレームの電話だったとしても、しっかりと話を聞くことで顧客の満足度が上がるケースもあります。
3.オペレーターによる対応の正確さ
オペレーターによる対応の正確さは、応対品質に直結する重要な指標です。顧客は、困りごとを解決したり不満を解消したりするためにコールセンターを利用するため、オペレーターによる対応が正確でなければ満足できません。
顧客が困っている内容を把握できなかったり、間違った情報を伝えてしまったりすると、応対品質は低下してしまいます。顧客情報や契約状況など、さまざまな内容を把握したうえで、正確な対応をすることが重要です。
4.応対品質の項目は企業によって異なる
ここまで、コールセンターの応対品質における一般的な項目を紹介しましたが、これらの項目はすべての企業に当てはまるわけではありません。
顧客からの疑問や不満に対応するコールセンターや、顧客に営業の電話をかけるコールセンターなど、さまざまなタイプがあるからです。 コールセンターの応対品質を測定したり向上させたりする際は、自社に合った項目をピックアップしなければなりません。
たとえば、カスタマーサポートセンターの場合は、応答数や応答時間、顧客満足度などの項目が重要です。 営業をおこなうコールセンターの場合は架電数やアポ獲得数、成約率といった項目を追加してもよいでしょう。
コールセンターの応対品質を測定する4つの方法
コールセンターの応対品質を向上させるためには、オペレーターがどのような対応をしているのか、どの程度の電話がかかってきているのかといったポイントを把握しなければなりません。 ここでは、コールセンターの応対品質を測定する方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.管理者がオペレーターの対応をリアルタイムでチェックする
管理者によるモニタリングは、オペレーターの応対品質を測定する方法の一つです。 管理者は、オペレーターと顧客の会話をリアルタイムで聞きながら、オペレーターの対応方法や顧客の反応などをチェックします。
会話だけではなく、オペレーターがどのように端末を操作するかをチェックする場合もあります。新人スタッフに対しては、その場で指示を出したり、アドバイスをしたりするケースもあるでしょう。
管理者によるリアルタイムのモニタリングのメリットは、あまり費用をかけずに、オペレーターの対応力を直接把握できることです。管理者は、オペレーターの声や会話の雰囲気をリアルタイムで把握できるため、応対品質を正確に測定できます。
ただし、管理者による直接のモニタリングでは、管理者の負担や時間的コストがかかる、というデメリットもあります。
1人のオペレーターの対応力を正確に評価するためには、複数回の電話をモニタリングしなければなりません。コールセンターの人数が増えるほど、管理者の負担は大きくなってしまうでしょう。 また、管理者に会話を聞かれていると思うと不安を感じたり、対応に集中できなくなったりするオペレーターもいるため、オペレーターに心理的負担をかけてしまう恐れもあります。
2.管理者が録音データを聞いてチェックする
録音データを使用してオペレーターの応対品質を測定する方法もあります。
録音データでチェックすることのメリットとしては、何度も聞き直せることや、自由なタイミングで聞けることなどが挙げられます。 オペレーターとしては、近くで聞かれているというプレッシャーがないため、安心して顧客対応ができるでしょう。 操作状況を記録できる端末を使っている場合は、オペレーターの操作スピードや正確さをチェックすることも可能です。
ただし、リアルタイムでのモニタリングと同様、コールセンターの規模が大きくなるほど管理者の負担も増えてしまいます。
複数の管理者でチェックするなど、体制を整えることも必要です。 測定を外部に依頼するのと比較すると費用はかかりませんが、管理者の人件費や負担が増えることには注意しましょう。
3.ミステリーコールや診断サービスを利用する
外部のミステリーコールや診断サービスを利用することも、コールセンターの応対品質を測定する方法です。
ミステリーコールとは、外部の調査員が顧客のフリをしてコールセンターに電話をかけ、オペレーターの対応の丁寧さや正確さをチェックする調査方法です。 オペレーターは調査されていることを知らないため、普段の応対マナーや対応力をチェックできます。診断サービスを利用することでも、オペレーターの応対品質やスキルを評価できます。
ミステリーコールや診断サービスのメリットは、外部の調査員による客観的な評価を得られることや、管理者がチェックする手間を減らせることです。調査会社は多くのデータや事例を把握しているため、競合他社のコールセンターと比較し、問題点や改善方法を発見できます。
一方、費用がかかるというデメリットもあるため、状況や予算に応じて利用するとよいでしょう。
4.電話がかかってきた時間などのデータを分析する
応対品質の項目の一つである電話のつながりやすさを測定するためには、データ分析をおこなうことが重要です。応答率や放棄呼率、平均応答速度などの指標によって、つながりやすさを測定することができます。
電話を多く受けた回数を曜日や時間帯ごとに可視化して分析することで、オペレーターの配置を改善したり、内容ごとにチームを編成したりすることができるでしょう。
コールセンターの応対品質を向上させる5つのポイント
コールセンターの応対品質を向上させるためには、「管理者がリアルタイムでオペレーターを指導する」「FAQページやAIチャットボットを導入する」「オペレーター用のFAQシステムを導入する」といった方法が有効です。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1.管理者がリアルタイムでオペレーターを指導する
前述したとおり、管理者がリアルタイムでオペレーターを指導することは、応対品質を向上させるシンプルな方法です。
管理者は、オペレーターが顧客の質問にどのように対応しているか、端末をどのように操作しているかといったポイントをリアルタイムで確認しながら指導できます。 問題点や改善点、対応のアドバイスなどをその場で伝えられるため、オペレーターとしても理解しやすいでしょう。
とくに新人スタッフを教育するときには有効な手段です。 ただし、管理者の負担が大きいというデメリットもあります。 オペレーターの会話や操作状況をずっと見ている必要があるため、1人で指導できる人数には限界があるでしょう。管理者だけでなく先輩スタッフなども含め、指導する人数を増やすなどの対応も必要です。
また、リアルタイムで指導されると、顧客との会話に集中しにくいことにも注意しましょう。 顧客と会話しつつ、管理者の指示を聞くのは意外と難しい作業です。オペレーターが混乱しないよう、指示のタイミングや内容などに配慮する必要があります。
2.よくある質問の答えをまとめたWebページを作成する
よくある質問の答えを掲載したWebページ(FAQページ)を公開しておくことも、コールセンターの応対品質向上につながります。 オペレーターの人数を増やせば、電話がつながりやすくなったり、丁寧に会話する余裕ができて顧客満足度がアップしたりするケースもありますが、予算やスペースの関係で難しい場合もあるでしょう。
FAQページを作成しておけば、顧客がコールセンターに電話をかける前に自分で問題を解決できるケースが増えるため、入電数の減少を期待できます。その結果、電話のつながりやすさという品質は大きく向上するでしょう。
3.AIチャットボットを導入する
AIチャットボットを導入することも、応対品質を向上させるための有効な手段です。 AIチャットボットとは、顧客からの質問に自動で答えてくれるシステムのことです。
顧客は、入力欄に質問を書き込むことで、簡単に答えを得られます。24時間365日休まずに稼働してくれることや、電話よりも気軽に利用できるため顧客との接点が増えることが、AIチャットボットのメリットといえるでしょう。
顧客がコールセンターを利用することなく疑問を解決できるケースも増えるため、FAQページを作成するのと同様に、入電数が減ることを期待できます。電話のつながりやすさが向上し、顧客のストレスが減少することや満足度が向上することも期待できるでしょう。
ただし、AIチャットボットを導入するためには費用がかかるというデメリットもあります。 オペレーターによる対応とは異なり、顧客との距離が遠くなってしまう可能性があることにも注意が必要です。
4.オペレーター向けのFAQシステムを導入する
オペレーター向けのFAQシステムを導入することも、コールセンターの応対品質向上につながります。オペレーターがFAQシステムを使うことで、よくある質問やその回答例、対応方法などの情報に素早くアクセスできます。
従来のような紙のマニュアルに頼ることがなくなり、対応スピードや正確さが向上したり、1人で対応できる人数が増えたりすることが期待できます。
その結果、顧客満足度が上がることも期待できます。 個人の経験に頼って対応することも減るため、オペレーターによる応対品質の差も少なくなるでしょう。いつも同じ対応をすることで、顧客からの信頼感も高まります。
5.IVRシステムにより窓口を振り分ける
コールセンターの応対品質を向上させるためには、IVR(Interactive Voice Response)システムにより対応する窓口を振り分けることも大切です。
IVRとは、顧客からの電話に対して音声案内を流し、質問内容に合う番号を入力してもらうことで対応する窓口へつなぐシステムのことです。 顧客の質問に答えられる窓口へつなぐことで、オペレーターはスムーズに対応できるため、通話時間の短縮や顧客満足度の向上につながります。
IVRシステムとショートメールなどを連携させ、電話での問い合わせから、Webページやチャットでの対応に誘導するのもよい方法です。 システムをうまく活用することでオペレーターの負担も減り、それぞれの顧客に丁寧に接する余裕が生まれるでしょう。
コールセンターの応対品質を向上させて顧客満足度を高めよう!
今回は、コールセンターの応対品質を測定する方法や、向上させるポイントなどを解説しました。
コールセンターは、企業全体の印象に影響を与える重要な部署の一つです。 コールセンターの応対品質を向上させるためには、管理者や先輩スタッフが指導するだけではなく、AIチャットボットの導入やFAQページの作成など、システムをうまく活用することも重要です。
入電数やオペレーターの負担を減らすことで、電話のつながりやすさや対応の質を向上させていきましょう。 また、コールセンターでは、自社に合ったCTIシステムをちゃんと導入できているのか確認しておきましょう。
以下の記事ではCTIシステムを幅広く紹介しています。これから新しくコールセンターの立ち上げを考えている方や、システムを見直したい方はぜひチェックしてみてください。
企業のみなさまへ
あなたもDXログにサービスを掲載しませんか?
あなたもDXログに
サービスを掲載しませんか?