タイムカードの15分・30分単位の切り捨ては違法?仕組みや正しい計算方法を解説
勤怠管理システム
2023.03.17
2023.03.17
勤怠管理のよくあるミスが、タイムカードの始業時刻や終業時刻の端数処理です。企業や店舗によっては、タイムカードを15分単位で丸めたり、切り捨てたりする場合があります。 しかし、原則として労働基準法上はタイムカードの端数処理は法令違反です。 この記事では、タイムカードを15分単位で切り捨ててはいけない理由や、労働時間の正しい計算方法、タイムカードでの勤怠管理を効率化する方法を解説します。
タイムカードの15分・30分単位の切り捨ては違法
タイムカードでの勤務時間の集計において、15分や30分単位などで勤務時間を切り捨てて計算することは認められていません。
タイムカードの勤怠丸め処理が認められない理由は、労働基準法第24条において賃金の「全額払いの原則」が示されているからです。ここでは、厚生労働省の見解を参照しながら、タイムカードの端数処理が法令違反とされる理由を解説します。
労働基準法第24条の全額払いの原則に違反
労働基準法第24条は、労働者に対する「賃金の支払」のルールを定めた条文です。厚生労働省によると、賃金の支払い方法には「通貨払いの原則」「直接払いの原則」「全額払いの原則」「毎月1回以上定期払いの原則」「一定の期日を定めて支払う」の5原則があります。(※1)そのうち、タイムカードの丸め処理に関係するのが全額払いの原則です。
(※1)賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
全額払いの原則
引用:労働条件・職場環境に関するルール|厚生労働省
賃金は全額残らず支払われなければなりません。したがって「積立金」などの名目で強制的に賃金の一部を控除(天引き)して支払うことは禁止されています。
ただし、所得税や社会保険料など、法令で定められているものの控除は認められています。それ以外は、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者と労使協定を結んでいる場合は認められます。
もしタイムカードの丸め処理をおこなった場合、労働者に賃金の全額を支払ったことにならず、全額払いの原則に反します。そのため、タイムカードを丸めたり、切り捨てたりすることは原則として禁じられています。たとえば、9時から勤務予定だった従業員が5分遅刻した場合に30分単位の丸め処理をおこない、9時間半から勤務したものとして5分から30分までの25分間分の賃金カットをおこなうのは法令違反です。
タイムカードの正しい計算方法は?何分単位で計算する?
労働基準法第24条の全額払いの原則により、タイムカードの数字を丸めたり、切り捨てたりできないことを説明しました。それでは、どのように労働時間を計算すれば法令違反に当たらないのでしょうか。
原則として、労働時間は1分単位で計算し、給与金額を算出する必要があります。ただし、残業手当や休日手当などの計算に限り、1カ月単位での端数処理が認められています。
原則として1分単位での給与計算が必要
タイムカードを回収し、労働時間を集計する際は、原則として1分単位で計算しましょう。労働時間を15分や30分単位で丸めると、前述の通り労働基準法第24条の全額払いの原則に反します。そのため、原則として労働時間の端数処理はおこなわず、1分単位で給与を計算する必要があります。
残業手当や休日手当などは1カ月単位での丸めが可能
残業手当や休日手当などの割増賃金の計算の場合は、例外的に1カ月単位での丸め処理が認められます。事務手続きを勘弁にするため、30分未満の端数は切り捨て、30分以上は切り上げて割増賃金を計算することが可能です。(※2)
(※2)しっかりマスター労働基準法 割増賃金編|東京労働局 p.7
賃金支払額の端数は丸め処理が可能
労働時間の丸め処理は原則としてできませんが、賃金額や割増賃金額の丸め処理は認められています。賃金額や割増賃金額を計算する際は、50銭未満の端数の切り捨て、50銭以上の切り上げが認められます。また、就業規則に定めがある場合、1カ月の賃金支払額の50円未満の端数の切り捨て、50円以上の切り上げが可能です。(※2)
(※3)3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか|東京労働局
タイムカードで効率よく勤怠管理をおこなう2つの方法
タイムカードを用いた勤怠管理には、タイムカードに印字された始業時刻や終業時刻を転記し、労働時間を集計する手間があります。手作業で集計をおこなうため、転記ミスや計算ミスが発生する可能性も高くなるでしょう。
大きな手戻りが発生した場合、従業員の労務管理や給与計算にも影響が出ます。タイムカードで勤怠管理をおこなう場合は、集計作業の効率化に取り組むことが大切です。タイムカードの集計を効率化する方法を2つ紹介します。
エクセルシートで集計作業を自動化する
オフィスソフトのExcelを導入している場合は、タイムカードの集計用のExcelシートを作成することで、労働時間の計算を効率化できます。関数やマクロの扱い方がわからない場合は、インターネットで公開された無料のテンプレートを利用することも可能です。
ただし、労働基準法などの法改正がおこなわれた場合、Excelシートの修正対応が必要になる可能性があります。また、タイムカードの始業時刻や終業時刻をExcelシートに転記する必要があるため、完全にミスや手戻りを防止することはできません。
労働時間の計算サイトを活用する
労働時間の計算サイトを活用し、タイムカードの集計作業を効率化する方法もあります。計算サイトに始業時刻や終業時刻、休憩時間などを入力すれば、自動で労働時間を計算することが可能です。
計算サイトによっては時給を入力することで、パートやアルバイトの給与計算も同時におこなうことができます。フリーで公開されている計算サイトもあるため、インターネット環境があればコストをかけずに集計作業を効率化できます。
タイムカードは15分単位で切り捨てず1分単位で計算
労働基準法第24条の全額払いの原則により、タイムカードの労働時間を15分や30分単位で丸めることはできません。原則として、タイムカードは1分単位での計算が必要です。タイムカードの丸めや切り捨てが法令違反になる理由を確認し、正しく労働時間を計算しましょう。
タイムカードを用いた勤怠管理は、労働時間の集計作業に工数がかかります。Excelシートや無料の計算サイトを活用すれば、集計作業を効率化することが可能です。
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