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有給休暇の取得日に支払うべき金額や3つの支払い方法を解説

勤怠管理システム

2023.06.20

2023.06.20

従業員が有給休暇を取得した際に支払う給料の計算方法は労働基準法により3つの計算方法のみ認められており、計算方法は就業規則に記載する必要があります。ここでは、有給休暇を取得した際の給料の計算方法に加え、最低賃金との関係や計算時の注意点について解説します。

有給休暇はその名の通り給料が発生する休暇ですが、その給料はどのようにして計算すれば良いのでしょうか。今回は従業員が有給休暇を取得した際に、企業側が支払うべき給料やその計算方法などについてわかりやすく解説します。

1. 有給休暇の取得日に支払うべき金額や3つの支払い方法

従業員が有給休暇を取得した際、企業側は従業員に対して出勤した場合と同様に給料を支払う必要がありますが、その金額は企業側が独自に算出して良いわけではありません。

有給休暇を取得した際の給料の計算方法は、労働基準法第39条第9項にて以下の3つの方法のみ認められています。

  1. 通常の賃金による計算方法
  2. 平均賃金による計算方法
  3. 標準報酬日額による計算方法

なお、一般的には1の「通常の賃金による計算方法」と2の「平均賃金による計算方法」が用いられることが多く、3の「標準報酬日額による計算方法」は例外的なもので、労使協定を締結した場合にのみ認められる計算方法です。

それではそれぞれの計算方法について詳しく解説していきます。

1-1. 通常の賃金を用いる場合

通常の賃金による計算方法は、有給休暇分の賃金計算で最も多く使用されている計算方法です。この方法では、従業員が有給休暇を取得した日に、本来勤務していた場合の賃金を支払います。

具体的な計算方法は以下のようになります。

  • 時給制の場合…時給額×所定労働時間
  • 制の場合…週給額÷有給休暇を取得した週の所定労働日数
  • 日給制の場合…日給(そのまま)
  • 月給制の場合…月給÷その月の所定労働日数
  • 出来高制の場合…賃金を算定する期間の賃金の総額÷当該期間の総労働時間数×当該期間の1日あたりの平均所定労働時間

この方法のメリットは、通常の給料を支給する場合と同じように計算を行うため、企業側にとって給料の計算が簡単であり、給料を支給される従業員側にとっても分かりやすいという点です。

従業員にとっては有給休暇を取得しても勤務をしている場合と全く同じ給料を受け取ることができるため、有給休暇の取得しやすさにも繋がるといえるでしょう。

一方、この方法にはデメリットもあります。それは、所定労働時間が一定ではない従業員の場合は正確な賃金を算出することが難しいという点です。

例えばパートやアルバイトの例を挙げると、同一の従業員が曜日によって午前中のみの勤務であったり、一日通しでの勤務であったりすることは珍しいことではないでしょう。

そして、シフトが決定してから有給休暇の申請を受けた場合であれば、シフトにある時間のとおりに計算をすれば問題ありませんが、シフトを組む前に申請があった場合は、本来勤務していた時間がわかりません。

そのため、このような勤務体制の場合には、次にご紹介する平均賃金による計算方法がマッチしているともいえます。

1-2. 平均賃金による計算方法の場合

平均賃金による計算方法では、その名のとおり個々の従業員の平均賃金から支給金額を算出しますが、その方法についても労働基準法第12条によって定められています。

その計算方法は、原則として次の2つの方法で金額を算出し、金額の大きい方を使用するというものです。

  1. 直近3ヶ月の賃金の総額÷直近3ヶ月の総暦日数(休日も含む)
  2. 直近3ヶ月の賃金の総額÷直近3ヶ月の労働日数×0.6

なお、ここでいう「直近3ヶ月」は、直近の締め日から3ヶ月ということになります。

つまり、賃金が毎月末日締め、翌月25日支払いの企業で、5月10日に有給休暇を取得した場合は、2月1日から4月30日までが「直近3ヶ月」に該当します。

この計算方法は「通常の賃金の計算方法」でもお伝えしたとおり、労働時間が日によって異なる場合などには有効な計算方法といえます。

しかし、有給休暇を取得する月が変わる度に計算をする手間が生じます。また、この計算方法の場合、土日祝日が多く、直近3ヶ月の総日数に対し賃金が少ない場合は、支払い額が減る可能性があります。

企業側にとっては支払額が減ることは支出を減らせていいことのように見えますが、従業員のモチベーション低下に繋がる危険性があります。

1-3. 標準報酬月額による計算方法の場合

標準報酬月額とは健康保険料の計算をする際に使用される仮の月給で、1等級(5万8千円)から50等級(139万円)までの全50等級があります。この標準報酬月額を30で割った金額を算出し、有給休暇の取得日数を掛けると有給休暇を取得した日の賃金の計算ができます。

標準報酬月額は毎月変動するものではないため平均賃金を計算するよりも簡単です。

しかし、通常の賃金や平均賃金による計算をした場合よりも金額が少なくなる可能性があることから、この計算方法を使用する場合には労使協定の締結が必要となります。

2. パートやアルバイトが有給休暇を取得した際の金額計算方法

パートやアルバイトが有給休暇を取得した際の金額計算方法は上述したものとほとんど同じですが、異なる部分もあります。

大きく異なるのは、標準報酬月額を用いた計算方法についてです。標準報酬月額は健康保険料を算出する際に用いるものなので、パートやアルバイトなどで会社の健康保険に加入していない従業員に対しては使用できません。

3. 最低賃金が上昇したことでの有給休暇中の賃金の変化

最低賃金は、各都道府県における賃金の最低水準のことで、労働者の生活の安定や労働力の質的向上、事業の公正な競争の確保などを目的としています。

そして、この最低賃金は毎年10月頃に改定がありますが、近年は働き方改革の流れを受け、上昇傾向が続いています。

有給休暇を取得した際の給与計算において、先にお伝えした「通常の賃金による計算方法」を用いる場合は、「時給額×所定労働時間」など、単純に通常の賃金がベースとなるため、有給休暇分の給与も最低賃金を下回ることはありません。

しかし、「平均賃金による計算方法」の1の計算方法を用いた場合は、直近3ヶ月の賃金の総額をその期間の総暦日数で割って算出するため、実働日数が少なかった月の場合は賃金の総額も少なくなり、暦歴日数で割ることで1日あたりの額が少なくなってしまうことがあります。

そのため、1と2(直近3ヶ月の賃金の総額÷直近3ヶ月の労働日数の6割)の計算方法の額を比較して1>2となった場合でも、結果的にその額が最低賃金を下回ることも考えられるのです。

さらに、「標準報酬日額による計算方法」においても、所定労働時間との組み合わせ次第では結果的に最低金額を下回ってしまう可能性があります。

4. 有給休暇の取得日の賃金計算をする際の注意点

前の章の例のように有給休暇の取得日の賃金が最低賃金を下回ってしまった場合でも、それを理由に計算方法を変えることはできません。なぜなら、有給休暇中の給料の計算方法は労働基準法により就業規則に記載するように定められているからです。

とはいえ、給料が各都道府県が定める最低賃金を下回ることは最低賃金法において違法であり、企業側は50万円以下の罰金を支払うことになってしまいますので、企業側には最低賃金を回避するための対応が求められます。つまり、もし有給休暇の取得日の賃金が最低賃金を下回ってしまった場合は、給料の計算方法は変えられませんが、金額を調整する必要があるのです。

最低賃金は毎年10月頃に改定されますので、最低賃金は毎年必ず確認をするとともに、違法とならないよう、管理ツールを導入して確認したり、必要に応じて社労士など法律の専門家に相談をしたりしましょう。

5. 賃金計算を正しく、効率的におこないましょう

有給休暇を取得した際の給料の計算は3つの方法のみとなっており、いくら計算がしやすいからといって自社独自の計算方法を用いることはできません。そして、従業員一人ひとりの有給休暇の取得日数を確認することはもちろん、計算方法によっては過去の給料の支給データや労働日数も確認する必要があります。

実際に取得された有給休暇の日数はわずかでも業務負担は大きなものにもなる可能性がありますので、勤怠管理システムなどを活用しながら効率的かつ正確な賃金計算を目指しましょう。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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