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固定残業代を導入するメリット・デメリットを労働者と会社別に解説

勤怠管理システム

2023.08.31

2023.08.31

固定残業代制度にはメリットとデメリットが存在します。どちらも理解しておくことで、リスクを低減してメリットを最大化することができます。本記事では、固定残業代制度のメリットとデメリットに加えて、メリットを活かすために企業ができる対策をわかりやすく解説します。

あらかじめ給与に一定の残業代を含めた状態で支給することを、固定残業代といいます。固定残業代はメリットとデメリットどちらもあわせもった制度ですが、適切に運用することでメリットを活かすことができます。

今回は、固定残業代のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

1. そもそも固定残業代とは

固定残業代制度とは、給与に固定の残業手当を含めて支払う制度です。残業代は一般的に、残業時間数に応じて賃金が支給されます。そのため、社員間で支給される残業代にはばらつきがみられます。

一方、固定残業代制度は、あらかじめ対象社員に「残業があったもの」とみなすのが特徴です。全対象社員には、一定の範囲内で残業の有無・実労働時間にかかわらず、一定額の残業代が支給されます。

基本的に固定残業代は45時間以内に設定されていて、45時間以内であれば、企業ごとに時間を自由に決めることができます。決めた固定残業時間を超えて残業させた場合は、固定残業代と別途で残業代を支給しなければならないため、注意が必要です。

次章では固定残業代を導入するメリットについて解説します。

2. 固定残業代を導入するメリット

固定残業代は、残業時間にかかわらず一定の時間内であれば同じ額が支給されるものなので「残業を頑張っても意味がない」とマイナスなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、実際は労働者と会社どちらにとってもメリットのある制度です。

まずは固定残業代のメリットを紹介します。

2-1. 労働者にとってのメリット

労働者にとってのメリットは、いくつかあります。最も大きなメリットは残業が少ない分だけ得をする点でしょう。

固定残業代は、残業をしなくても時間外手当が支払われる制度なので、定時までに効率良く仕事を終わらせられる人にはメリットが大きく、モチベーションが向上します。ダラダラと仕事をする人が残業代を多くもらって稼いでいるといった不公平感も解消され、社内全体の業務効率化にもつながります。

仕事の効率が良くなるとタイムマネジメントスキルが上がるため、会社からの評価も上がったり、プライベートの時間が確保されたりなど、労働者にとってのメリットは意外にも大きいのです。また、残業時間の増減によって毎月の給料が変動しないため、給与が安定することも労働者にとって魅力的でしょう。

2-2. 会社側にとってのメリット

会社側から見た固定残業代を導入するメリットはいくつかあり、ここでは4つ紹介します。

1つ目は、残業代の計算をする手間が省けるということです。固定残業代を導入すると、支払う額が毎月同じなので、全ての従業員が固定残業時間の範囲内で業務を終わらせた場合、会社側としては残業代を計算する手間が省けるというメリットがあります。ただし、固定時間を超えた分については、時間外手当を支給するための計算が必要です。

2つ目は資金調整がしやすくなるということです。人件費のうち、残業代の変動があまりないので、資金調整がしやすくなります。

3つ目は生産性の低い労働を削減できるということです。残業時間に応じて残業代が支給される場合、定時までに終わる仕事をわざとゆっくりおこない、生活費を稼ぐ「生活残業」が発生する場合があります。固定残業代制度を導入することで、残業した時間数が賃金に比例するわけではないので、生活残業をする意味がなくなります。生活残業は会社にとって無駄な人件費なので、コスト削減にも期待できるでしょう。

4つ目は求人広告を掲載したとき魅力的に見える場合があるということです。例えば、「基本給25万円で時間外手当は残業時間に応じて支払う」という求人と、「基本給25万円で、固定残業代として5万円(30時間分)」の2つがあったとき、後者は残業の有無に関係なく、毎月30万円の支給が保証されます。そのため、固定残業代を取り入れた方が求人広告が魅力的に映ることがあります。

このように、会社側にもメリットがある固定残業代制度ですが、デメリットも存在します。次章では固定残業代制度のデメリットを紹介します。

3. 固定残業代を導入するデメリット

固定残業代制度はメリットがある一方、制度について正しい理解がないとさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。続いて、固定残業代のデメリットを紹介します。

3-1. 労働者にとってのデメリット

労働者側から見た固定残業代のデメリットは大きく2つあります。

1つ目は、固定残業代制度を導入していることで、会社側から残業を強制されるケースがあることです。会社側の言い分としては「残業代を一定額払っているのだから残業してもらわないと困る」かもしれませんが、本来固定残業代制度とは企業が一定額払うことによって労働者に残業させることができるような制度ではありません。

効率的に仕事を終わらせられる人にとって、このような職場では固定残業代のメリットが感じられなくなってしまうでしょう。実際「残業代をもらっているから」という理由で周りが残業をしていると、退勤しづらい雰囲気が蔓延することもあります。

2つ目は固定残業時間を超えた場合の残業代が支払われない可能性があるということです。固定残業時間を超えた分は、時間外手当が支払われるはずですが、会社によっては超過分を支給しない場合があります。もちろんこのような会社は違法なので、未払い残業代として請求できますが、精神的なストレスは大きいでしょう。

固定残業代制度を有効的に活用するためにも、企業は適切な運用を心掛けましょう。

3-2. 会社側にとってのデメリット

固定残業代制度を取り入れる会社側のデメリットは、大きくわけて2つあります。

1つ目は記載を誤った場合に違法となる場合があることです。固定残業代制度は労働者に周知し、就業規則や雇用契約書に正しく記載されていることで、有効であると認められます。しかし、もし法的に無効であるとされた場合、これまで会社が支払ってきた固定残業代は残業代ではなく基本給とみなされる場合があります。

つまり、残業代が未払いであると判断されることになるため、会社は労働者に残業代を別途支払わなければならないのです。そうなった場合に問題なのが、本来固定残業代として支払っていた賃金が基本給とみなされることで、時間単価が上がることです。時間単価は基本給をベースとして算出されるため、未払い残業代として膨大なコストがかかる可能性があります。

2つ目は、記載方法によってはブラック企業ととらえられる可能性があるということです。労働者は固定残業代について「何時間働いても、もらえる残業代は変わらない」と間違った解釈をしている場合があります。そうすると、求人広告を見たときに固定残業代を取り入れていることでマイナスのイメージを持たれる可能性があることはデメリットかもしれません。求人を掲載する際は、「固定残業時間を超える残業には別途時間外手当を支給する」と記載し、誤解を与えないための配慮が必要です。

4. 固定残業代のメリットを活かすために

固定残業代制度を導入するなら、労働者と会社双方にとってメリットに感じられる運用をしていくべきでしょう。そのためは固定残業代導入に関するルールを守ることが大切です。

固定残業代を正しく運用するためのルールは多数ありますが、それらを守ることで労働者とのトラブルを防いだり「知らずに違法な運用をしていた」という事態を避けることができるでしょう。

固定残業代のメリットを活かすために特に守るべきルールを紹介します。

4-1. 就業規則・雇用契約書・求人広告などに適切な記載をする

固定残業代に関する記載は、労働者が見て分かりづらい表現や誤解されやすいような書き方は避けなければなりません。固定残業代を除いた基本給がいくらなのか、また固定残業代の金額及び時間は明確に記載するようにしましょう。例えば、「基本給30万円(固定残業代を含む)」というような記載は、固定残業代がいくらなのか、何時間分に相当するものなのかが不明瞭なため、無効となります。

記載があいまいで、基本給に含まれている固定残業代の時間と金額がわからなかった場合、さらに残業代を請求されることもあるため、注意が必要です。

4-2. 固定時間として設定する時間は45時間以下にする

固定残業代の時間の規定は特にありませんが、労働基準法で定める残業の上限時間「月45時間まで」を基本に設定するようにしましょう。

60時間など残業上限を大幅に超えた時間で設定すると違法となる可能性があります。

4-3. 固定時間を超過した場合は別途時間外手当を支払う

会社は労働者が実際に働いた時間外労働分の割増賃金を支払う義務がありますので、固定残業代を超えた場合は、時間外手当を支払わなければなりません。

「何時間残業しても支払われる賃金が同じ」では、固定残業代がデメリットにしか感じられなくなってしまいます。「固定残業代を払っていればそれ以上は支払う必要がない」は会社側の間違った認識ですので、正しく運用しましょう。

4-4. 休日出勤や深夜残業の手当は別途支払う

通常の割増賃金率は25%ですが、休日手当は35%、深夜手当は25%がさらに割増されます。
固定残業代にこれらを含めることは可能ですが、どの割増区分を何時間分支払っているのかを明確に区分する必要があります。

労働者が不利になることがないよう、休日手当や深夜手当は固定残業代とは別で計算し、支給しましょう。

5. 固定残業代は労働者と会社どちらにもメリットがある!

一定時間の範囲内で残業の有無にかかわらず給料に残業代を含めて支給する固定残業代は、良い面と悪い面、両方の側面があります。固定残業代を導入することで残業時間が削減できれば、労働者にとっては残業をしていなくても残業代が支給され、企業にとっては生活残業削減などのメリットとなるでしょう。

しかし、同時にデメリットがあることも理解しておくことで、固定残業代導入によって起こりうるトラブルを未然に防ぐことができます。メリットを生かした運用のためにも、固定残業代の導入に関するルールはしっかり守りましょう。

【監修者】蓑田真吾(社会保険労務士)

 

社会保険労務士独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。法改正内容を踏まえながら、ヒアリング内容を基に、企業に合った様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業の人事労務業務をサポート。

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