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月60時間を超す時間外労働は割増賃金率50%以上!中小企業の猶予も解説

勤怠管理システム

2023.08.31

2023.08.31

法改正により、月に60時間を超える時間外労働が発生した場合、基礎賃金の50%の割増賃金を支払わなければなりません。これまでは大企業にのみ適用されていましたが、2023年4月以降は中小企業にも適用されます。中小企業や時間外労働の対象外となる管理監督者の定義も確認しましょう。

労働基準法では、月に60時間を超える時間外労働に対しては基礎賃金の50%を割増した賃金を支払うことが義務付けられています。

これまでは中小企業は猶予期間が設けられていましたが、猶予期間の終了が決まっています。

本記事では、割増賃金の引き上げにはどのような目的があるのか、また中小企業の猶予期間はいつまでで、いつから割増賃金が引き上げられるのかや、割増賃金を支給するためにおこなうべき施策などについて解説します。

1. 割増賃金とは?いつ発生するもの?

そもそも割増賃金とは、法定労働時間を超過した分の労働や休日労働などに対して割増して支払う賃金のことを指します。割増率は、法定外労働の種類によって異なっており、それぞれ労働基準法によって定められています。

法定外労働の種類としては、時間外労働(1日8時間・週40時間を超える労働)、深夜労働(22時~翌5時の間での労働)、休日労働(法定休日での労働)が挙げられます。

それぞれの種類に対する割増率や、複数に該当する場合の割増率に関しておさらいしたい方は、下記の記事をご活用ください。

2. 現時点では大企業のみ割増賃金率が50%以上

時間外労働が60時間を超える場合、現時点では大企業が50%の割増賃金、中小企業は25%の割増賃金を支給しなければなりません。大企業は人材に余裕があること、割増賃金を支給するための準備をしやすいこと、資本が豊富にあることなどから、このルールが適用されるのが早くなっています。

大企業の定義として明確に定められた基準はありませんが、法律では中小企業の基準は明確です。

次の項目で紹介する中小企業の定義よりも規模が大きな企業の場合は大企業とみなされ、割増賃金を50%以上支払う義務が発生します。

2-1. そもそも中小企業の定義とは

中小企業の定義を確認しましょう。
中小企業は、中小企業基本法という法律でその定義が明確に定められています。

以下にあてはまる場合は中小企業とみなされ、時間外労働に対する割増賃金についても一定期間の猶予があります。

  • 製造業、建築業、運輸業などの場合、資本金が3億円以下で社員数が300人以下であること
  • 卸売業の場合は資本金が1億円以下で、社員数が100人以下であること
  • サービス業では資本金が5000万円以下、社員数が100人以下、小売業の場合は資本金が5000万円以下、社員数は50人以下であること

以上が中小企業の定義です。

これ以上の規模になるとその企業は大企業とみなされます。

参考:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁

3. 中小企業は2023年4月から割増賃金率引き上げ

2010年の割増賃金引き上げに関する法改正では、60時間を超える時間外労働が生じる中小企業においては、適用に猶予が設けられていました。

中小企業はこの50%の割増賃金を支給する資本がない、またシステムを改める余裕がないなどの理由を考慮して、2023年の3月までは、時間外労働が60時間を超えても割増賃金は25%で良いとされていたのです。

しかし、猶予期間が終了する2023年4月からは中小企業でも割増賃金を50%支給しなければなりません。直前になって慌てて用意をするのではなく、徐々に新しい法律に適応できる環境を作っていく必要があります。

3-1. 割増賃金を50%に引き上げる目的とは

月60時間を超過する時間外労働の割増賃金を50%にまで引き上げる目的としては、長時間の時間外労働を抑制することが挙げられます。

厚生労働省は、割増賃金の引き上げには、長時間労働の常態化に加えて下記のような背景があったと公式資料に記載しています。

少子高齢化が進行し労働力人口が減少する中で、子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移しており、労働者が健康を保持しながら労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう労働環境を整備することが重要な課題となっています。

引用:2.法定割増賃金率の引上げ|厚生労働省

割増賃金の率が引き上がることで、企業が60時間を超える残業時間を控えるようになり、総労働時間の削減が期待できます。よって、従業員には残業の減少やワークライフバランスの向上も見込めるでしょう。

このように魅力的な職場環境をつくることで、結果的に優秀な人材も集まりやすくなり、離職率の低下も期待できます。

割増賃金の率を上げることは中小企業にとっては負担にも見えますが、将来的に企業の利益となるメリットが多いといえるでしょう。

中小企業は残業削減に向けて対策を講じ、業務の効率化を図ることで、無駄がなくより働きやすい環境をつくることが求められます。

4. 管理職と割増賃金の関係

管理職が「管理監督者」に該当する場合、割増賃金の扱いが一般の従業員とは異なるため、注意しましょう。

ここでは、管理監督者に対する割増賃金の扱いについて、解説します。

4-1. 原則として「管理監督者」は割増賃金の対象外

労働基準法では、管理監督者に対しては割増賃金を支払う必要はないとされています。

しかし、管理監督者には基準があるため、企業の中での職名が管理職だからといって割増賃金の対象外になるというわけではない場合もあります。業務内容などから、法律が定める管理監督者に該当するかどうかを確認しましょう。

管理監督者は部長や工場長など、経営者と一体的な立場といえるポジションであるかどうかが重要です。

4-2. 管理職も割増賃金の対象となる場合がある

法律上で管理監督者とみなされた場合は時間外労働や休日労働に対する割増賃金は必要なく、その他休憩や休日、労働時間の上限の要件などが除外されます。

ただし、22時から翌5時までの深夜労働に対しては深夜割増賃金が適用されます。また、有給休暇も適用されるため、勤続年数に応じた有給を付与する必要があります。

すべての割増賃金や労働条件が適用外になるわけではないので注意しましょう。

5. 60時間の割増が適用するまでに中小企業がおこなうべき対策・準備とは

60時間を超えた残業をおこなった場合の割増賃金率が50%に引き上がることを受け、「中小企業の猶予はいつまで?対応はどうすればよい?」と不安に感じる方も多いでしょう。

中小企業の場合、現状のまま割増賃金の率がアップすると経営に支障が出る可能性もあります。2023年の3月に向けて、今後取り組むべき対策・準備について解説します。

5-1. 正確な時間外労働時間の把握

まずは正確な労働時間の把握を徹底しましょう。

誰がどれくらいの時間働いているのかを把握することで、月60時間を超える残業の理由が可視化しやすくなるでしょう。一部の従業員に残業時間が偏っている場合は、業務量が適切でない可能性が高いため、同じ部署内の人に調節やフォローを促すなどの対策が必要でしょう。

全体的に残業時間が多い場合は労働力が不足している可能性が高いため、アウトソーシングや新たに人材を募集することも手段の一つです。

5-2. 業務効率化による残業の抑制

業務の無駄を見つけ、改善していくことで業務の効率化が期待できます。

業務をマニュアル化して誰でも同じ業務をおこなえるようにする、デジタル化できる部分はシステムを導入するなどの方法があります。

無駄を省くことで残業が少なくなるだけでなく、業務に余裕が生まれ、新しい事業にチャレンジしたり、従業員が余裕をもって業務に専念できたりするようになります。

5-3. 代替休暇の活用

月60時間を超える時間外労働をおこなった労働者に有給休暇を与えるのが代替休暇です。

代替休暇は企業の一存で決定できるものではなく、利用するかしないかの決定権は従業員側にあります。代替休暇制度を導入するには、事前に労使協定を締結する必要があるため注意しましょう。

代替休暇の導入を検討する際には、労働者代表をはじめとする全従業員が納得できるルールを考えることが重要です。

5-4. 勤怠システムを整備する

タイムカードを導入したり、近年は従業員がスマホで勤怠を入力できるシステムを導入したりする企業も多いです。

これまで以上に労働時間のチェックは慎重におこない、無駄がないかを都度確認しましょう。

5-5. 就業規則への追記

割増賃金を含む従業員の給与に関する情報は、就業規則に明記する必要があります。

厚生労働省が公開している就業規則への記載例は、下記の通りです。

(割増賃金)

第○条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法によ

り支給する。

(1)1か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この

場合の1か月は毎月1日を起算日とする。

① 時間外労働60時間以下・・・・25%

② 時間外労働60時間超・・・・・50%

引用:月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省

6. 中小企業も月60時間を超えた場合の割増賃金に対する施策を導入しよう

割増賃金のルールはこれまで大企業にのみ適用されていましたが、今後中小企業も対応しなければなりません。

資金の少ない中小企業は現状を維持するのではなく、人件費を削減するためにできる施策を導入していく必要があります。

今回紹介したさまざまな施策を参考に、何から始めるべきかを考えていきましょう。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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