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運送業の2024年問題とは?改正に伴う労働時間の上限規制も解説

勤怠管理システム

2023.10.11

2023.10.11

2024年に運送業の時間外労働時間が規制されますが、改正されると上限はどのように変わるのでしょうか。今回は、運送業における時間外労働時間の取り扱いと、今からできる長時間労働改善に向けた取り組みについて紹介します。働き方改革が推進される背景も理解しておきましょう。

1. 運送業の労働時間の上限規制

運送業は、現在、労働基準法における時間外労働の規制対象から外れているため、従業員に上限なく時間外労働をさせることができます。

一般的な企業においても、2019年4月の働き方改革関連法の施行以前は、36協定を締結している企業は事実上、上限なく残業をさせることができました。

しかし、同法が施行されてからは、残業に上限に対して罰則規定が設けられました。

ただし、運送業をはじめとする自動車運転業務は、業種・業務の特性上、長時間労働になりやすい「重点業種」として「過労死防止対策大綱」に指定されており、長時間労働の是正に他の業種より時間がかかってしまうため、適用に猶予が設けられています。

ただし、現状も完全に労働時間に関する規定がないわけではありません。現状の規定内容について解説していきます。

1-1. 厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」の規定

自動車運転業務の労働時間は厚生労働省が基準を定めています。

具体的には下記の内容に留意する必要があります。

一 拘束時間は、一箇月について二百九十三時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、一年のうち六箇月までは、一年間についての拘束時間が三千五百十六時間を超えない範囲内において、三百二十時間まで延長することができる。

二 一日についての拘束時間は、十三時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、十六時間とすること。この場合において、一日についての拘束時間が十五時間を超える回数は、一週間について二回以内とすること。

三 勤務終了後、継続八時間以上の休息期間を与えること。

四 運転時間は、二日(始業時刻から起算して四十八時間をいう。次条において同じ。)を平均し一日当たり九時間、二週間を平均し一週間当たり四十四時間を超えないものとすること。

五 連続運転時間(一回が連続十分以上で、かつ、合計が三十分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。次条において同じ。)は、四時間を超えないものとすること。

引用:自動車運転者の労働時間等の改善のための基準第四条|厚生労働省

2.労働基準法改正に伴う労働時間の上限の変更(2024年問題)とは

運送業の時間外労働は、2024年4月より年間960時間を上限とする規制が適用されます。

これは、2018年に成立した「働き方改革関連法」によって労働時間の見直しがおこなわれ、翌年の4月から全業種を対象に施行された結果です。

運送業以外の一般大企業は2019年から、中小企業は2020年からすでに実施されています。

運送業に関しては、他の業種に比べて長時間労働が常態化していることや、人手不足の深刻さから、5年の猶予が与えられました。

改正後の時間外労働の取り扱いについて、一般的な企業に適用されている内容と、ドライバー特例それぞれの詳細を確認してみましょう。[注1]

企業区分 一般的な企業 運送業(ドライバー)
上限規定

原則として月45時間

年360時間特別な事情がある場合に限り36協定を結び年720時間まで

ただし、年720時間以内においても下記上限を上回ってはならない
①2~6ヵ月の間で平均80時間以内(休日労働含む)
②月100時間未満(休日労働含む)
③月45時間を超えるのは年6回まで

年960時間まで(休日労働含まない)

年960時間とは、平均すると1ヵ月で80時間です。1ヵ月の上限はないため、仮にある月で100時間を超えてしまったとしても、年960時間以内であれば問題ないとされています。

また、運送業であっても事務員や管理職、倉庫作業員などはドライバー特例にはあてはまりません。

これまでは、労働基準法で月や年間の時間外労働時間の上限規制はされておらず、罰則などもありませんでした。

しかし、改正以降は上限を超えるとルール違反として罰則が科せられる可能性があるため、長時間労働が常態化している場合、注意が必要です。

罰則の内容は「6か月以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」であり、1人でも違反したら罰則が適用される恐れがあります。

将来的には運送業における時間外労働の規定も一般企業と同じ内容にすることが検討されてるため、人手不足問題は早急に解決する必要があるでしょう。

[注1]トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン(解説書)|公益社団法人 全日本トラック協会

3. 運送業の働き方改革が推進される背景

日本は世界的に見ても長時間労働の問題や少子高齢化による労働人口の減少が問題となっており、また近年はライフスタイルの変化も激しいため、多くの労働問題が課題となっています。

将来を見据えた改善策が必要とされている今、推進されているのが働き方改革です。

3-1. 過重労働の問題

特に運送業は、労働時間が長いことで知られていますが、国土交通省が公表している資料「トラック運送業の現状等について」を見ると、年間労働時間が他の業種よりも長いことが分かります。

同資料によると、トラックドライバーは全業種の賃金と比較して、大型トラックドライバーで約1割、中小型トラックドライバーで約2割ほど低いようです。[注2]

労働人口の減少だけでなく、長時間労働・低賃金がさらなる人手不足を招いていると考えられ、実際に求人倍率の推移からトラックドライバーの人手不足が深刻化していることが推測されます。

[注2]トラック運送業の現状等について|国土交通省

3-2. 非正規社員の賃金格差について

運送業界で働く従業員は正社員だけでなく、契約社員やアルバイトなど、非正規社員も多く働いています。

しかし、業務内容は同じであるにもかかわらず、正社員と非正規社員の給与面での待遇が異なることが問題視され、働き方改革関連法では「同一労働同一賃金」も施行されました。

大企業は2020年から、中小企業は2021年から実施されており、この規定に関しては運送業もすでに適用されています。

同一労働同一賃金とは簡単に説明すると「業務内容や責任の重さが同じであれば正社員と同じ賃金を支払われなければならない」という内容です。

非正規社員を雇っている運送業者は、正社員との不合理な差がないよう、給与や評価に関する基準を明確に設けておく必要があります。

4. 運送業で労働時間の上限を超過すると発生するリスク

労働契約法5条では、「企業は従業員が常に安全で働きやすい環境で仕事できるよう配慮しなくてはならない」という安全配慮義務を定めています。

長時間の運転や労働によって発生する可能性がある問題やリスクについて確認しましょう。

4-1. ドライバーの健康被害

長時間労働において、最も過労死のリスクが高いのは運送業です。厚生労働省は、「月100時間以上の残業が発生している場合」、2~6ヵ月を平均して残業時間が80時間を超過している場合」過労死や労災が発生しやすいとしています。

また、月80時間を超える残業は心臓や脳の疾患の発生リスクが高まると発表しています。

従業員の過労死や労災が認められれば、社会的イメ―ジが損なわれるだけでなく、損害賠償が数千万円~数億円にもなる可能性があります。

4-2. 事故の発生

道路交通法75条では、過労運転で事故が発生した場合、刑事責任を問われるのは、ドライバーだけとは限らないとされています。

過労運転によりドライバーが事故を起こした場合、企業も責任を問われます。管理に問題があった場合、営業停止の行政処分を受けることもあるため注意しましょう。

また、労災の場合と同様に損害賠償請求を受ける可能性もあります。

5. 2024年までに運送業者が取り組むべきこと

運送業者は猶予期間中である現段階から、長時間労働を改善していく取り組みをおこなっていかなければなりません。

今の時点では「現実的でない」と思うかもしれませんが、数年後には施行されるため、少しずつ改善していくことが大切です。

トラックドライバーの時間外労働時間を減らすための対策を紹介します。

5-1. システムを分析・導入して効率化を図る

デジタコとよばれる運行管理システムは、貨物自動車運送事業法で装着が義務化されています。そのため、全ての運送業者が現時点でデジタコのデータを保持しているはずです。

トラックの走行時間や走行距離から、荷待ち時間はどのくらいか、効率良く走れる道は他にないかなどを分析することで、運行の効率化につながる可能性があります。

また、デジタコ以外のシステムやIT技術を新たに導入することも効果的です。

例えば、積載シミュレーションシステムを導入すると、無駄なく荷物が積めるため積載率を上げることができます。

他にも、トラック予約受付システムを活用すれば、荷待ち時間が短縮できたり、コスト削減が実現できたりします。

運送業界で活用できるシステムは数多くありますので、自社に合ったシステムを選び、従業員の労働時間を減らしましょう。

5-2. ドライバーを確保する

時間外労働の上限が規制されることで運送業界全体、そして労働者一人ひとりにもさまざまな影響が及ぶと考えられています。

そのうちのひとつにドライバーの収入減少が挙げられます。

時間外労働時間が減ると同時に残業代も減るため、離職者が増えてしまうことが懸念されており、どれだけドライバーを確保できるかが重要になってきます。

ドライバー不足は1人あたりの負担を増やし、長時間労働や休日出勤を増やす要因になるでしょう。

ドライバー確保のためには、労働環境の改善が不可欠です。求人数が多いにもかかわらず、人手不足が解消されないのは、労働条件に原因がある可能性も考えられます。

福利厚生の充実や女性でも働きやすい環境を整えるなど、できることから改善していきましょう。

6. 運送業は労働時間改正に向けて準備しておこう

運送業は2024年に施行される時間外労働時間の上限規制によって、大幅な残業時間削減が求められるようになりました。

長時間労働や賃金に関する課題は以前から問題になっていましたが、近年働き方改革の推進により、労働環境の見直しがさまざまな角度からおこなわれています。

時間外労働の上限規制までまだ時間はありますが、今から長時間労働を改善するための取り組みを実施し、業務の効率化を進めたりトラックドライバーの人材を確保したりしていきましょう。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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