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フレックスタイム制の労使協定で定める項目とは?導入までの流れも解説

勤怠管理システム

2023.08.29

2023.08.29

フレックスタイム制導入への労使協定に必要な項目は、労働基準法にて明確に規定されています。また必須項目に追加で設定すると、トラブルを防止できる任意の項目も存在します。本記事では、フレックスタイム制への労使協定の届出内容や、労使協定締結前に把握しておくべき注意点を解説します。

1. そもそも労使協定とは?企業と従業員が取り交わす特別な協定のこと

そもそも労使協定とは、企業と従業員が取り交わす特別な協定を意味する言葉です。労働基準法の範囲内ではないものの、例外的に認められた規則を設けたい場合に労使協定を締結します。

労使協定の代表例が、労働基準法第36条に基づく「36協定」です。労働基準法上は1日8時間、週40時間を超える労働は認められません。しかし、36協定を締結すれば従業員に時間外労働をさせることが可能になります。

1-1. 労使協定を締結する方法

労使協定を締結するためには、以下の通り労働組合か従業員代表者と書面による協定を取り交わす必要があります。[注1]

  • 労働者の過半数で組織する労働組合
  • その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者

その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者

労働組合と使用者の間で締結し、組合員にのみ効力を及ぼす労働協約と呼ばれる協約もありますが、

労働基準法第32条の3により、フレックスタイム制を導入する際は「労使協定」の締結が必要です。

2. フレックスタイム制について労使協定で定めるべき項目

フレックスタイム制を導入する場合は労使協定を締結し、以下の6つの内容を定める必要があります。[注2]

  1. 対象となる労働者の範囲
  2. 清算期間
  3. 清算期間における総労働時間
  4. 標準となる1日の労働時間
  5. コアタイム(※任意)
  6. フレキシブルタイム(※任意)

労使協定で合意に至った内容は、就業規則に記載し、全従業員に周知する必要があります。それぞれのポイントや注意点を解説します。

2-1. 対象となる労働者の範囲

まず、フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲を決めます。フレックスタイム制の適用範囲は、全従業員でも特定の部署や部門のみでもかまいません。また、特定の部署や部門以外にフレックスタイム制を導入する場合の労使協定のひな形は、下記の通りです。

総務課所属の従業員を除く、全従業員にフレックスタイム制を採用する

引用:フレックスタイム制に関する労使協定書 |厚生労働省

2-2. 清算期間

清算期間とは、「フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間」を指します。[注2]

清算期間とは、フレックスタイム制の対象となる期間のことです。労使協定を締結する際は、清算期間の長さだけでなく起算日も明記しましょう。

法改正により、清算期間は最大3ヶ月まで延長できるようになりました。ただし、厚生労働省のガイドラインの通り、清算期間を延長する場合も1ヶ月あたりの労働時間を計算し、従業員に通知する必要があります。[注2]

労使協定のひな形では、下記のように記されています。

労働時間の清算期間は、毎月1日から末日までの1ヶ月とする

引用:フレックスタイム制に関する労使協定書 |厚生労働省

法改正で清算期間の上限が最大3か月に延長されましたが、月ごとの繁閑差などの実態を踏まえ、対象者の範囲や清算期間を労使でよく話し合うことが重要です。また、清算期間が1ヵ月を超える場合でも、使用者は1ヵ月ごとに実際に働いた労働時間を労働者に通知するなどの対応に努めてください。

2-3. 清算期間における総労働時間

清算期間における総労働時間とは、清算期間内で従業員が働くことが予定されている所定労働時間のことです。

フレックスタイム制における労使協定のひな形では、下記のように記されています。

清算期間における所定労働時間は、清算期間を平均して1週40時間の範囲内で、1日7時間に清算期間中の労働日数を乗じて得られた時間数とする。

引用:フレックスタイム制に関する労使協定書 |厚生労働省

清算期間における総労働時間を定める場合、法定労働時間の総枠を超えないようにする必要があります。法定労働時間の総枠は次の計算式で求めることができます。

法定労働時間の総枠=40時間×(清算期間の暦日数÷7日)

2-4. 標準となる1日の労働時間

標準となる1日の労働時間とは、勤務日1日あたりの労働時間の目安のことです。

フレックスタイム制の労使協定のひな形では、下記のように記載されています。

1日の標準労働時間は、7時間とする。

引用:フレックスタイム制に関する労使協定書 |厚生労働省

標準となる1日の労働時間は、従業員が年次有給休暇を取得した際の賃金計算の基礎として利用するため、1日当たり7時間のように具体的に定めることが必要です。

2-5. コアタイム

コアタイムとは、従業員が必ず出社しなければならない時間帯を指す言葉です。労働基準法上、コアタイムは設定しなくてもかまいません。コアタイムを設定する場合、開始時間と終了時間の両方について労使協定を結ぶ必要があります。以下は厚生労働省が作成した労使協定のひな形です。[注2]

(コアタイム)

第○条 必ず労働しなければならない時間帯は、午前10時から午後3時までとする。

引用:フレックスタイム制に関する労使協定書 |厚生労働省

2-6. フレキシブルタイム

フレキシブルタイムとは、従業員が出社するかどうかを自由に選択できる時間帯を指す言葉です。コアタイムと同様、フレキシブルタイムを設定する場合は、開始時間と終了時間の両方を労使協定に明記する必要があります。以下は厚生労働省のひな形です。[注2]

(フレキシブルタイム)

第○条 適用社員の選択により労働することができる時間帯は、次のとおりとする。

始業時間帯=午前6時から午前10時までの間

終業時間帯=午後3時から午後7時までの間

引用:フレックスタイム制に関する労使協定書 |厚生労働省

2-7. その他で任意で設けられる内容について

コアタイムとフレキシブルタイムに加えて、下記の項目に関しても任意で定めることが可能です。あらかじめフレックスタイム制にまつわる規定を明確に労使間で合意をとり、示しておくことで、のちの認識の齟齬によるトラブルを防止することにも繋がります。

  • 休憩時間の取り扱い
  • スーパー(フル)フレックスタイム制の適用外時間帯
  • 総労働時間に対する実労働時間の超過分・不足分の取り扱い
  • コアタイムへの遅刻・早退・欠勤の取り扱い
  • フレックスタイム制が解除となる条件
  • フレックスタイム制に関する規定の有効期間

3. フレックスタイム制の導入フローをおさらい

ここまで労使協定のために定めておくべき項目や任意で定められる内容などについて解説しました。フレックスタイム制を導入するためには、労使協定のみならず複数の手順が存在します。滞りなく導入し、フレックスタイム制を適切に運用していけるよう、以下のフローを確認してみてください。

3-1. 就業規則の修正

就業規則は企業と従業員が互いの権利を守り、かつ各々の義務を果たしながら、企業を発展させられるよう、一定要件を定める義務が存在します。フレックスタイム制を導入するために設けるべき詳しい項目や、就業規則のひな形を確認したい方は下記の記事にてご確認ください。

3-2. 労使協定を締結

労使協定に必要な項目や任意で定めるべき項目を選定したら、就業規則や対象者、清算期間などの取り決めを、労働者と使用者間で話し合い、合意をとる場を設けます。

ただし、清算期間を1ヵ月以内に設定した場合には、労使協定の届出は不要です。

3-3. 労働基準監督署へ届出の提出

労働組合または従業員代表者と労使協定の締結が完了したら、所轄の労働基準監督署長に届け出をおこなうことが義務付けられています。

届出の提出方法は、受付にて直接渡す方法と、郵送する方法の2種類が認められています。

3-4. 従業員への周知

就業規則の作成・変更後、また労使協定の締結後にも、全従業員に対する周知義務が発生します。周知方法に関しては、労働基準法106条の労働基準法施行規則第52条の2にて、以下の通りに定められています。

一 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

二 書面を労働者に交付すること。

三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

引用:労働基準法施行規則 | e-Gov法令検索

このように、周知をおこなう際には労働者がいつでも情報を確認できる場所への掲示・交付が求められます。デジタルデータをアップロードした場合には、社外への持ち出しが発生しかねないため、コピーやダウンロードの制限を加えるなどの対策をすることをおすすめします。

3-5. 社内への導入準備

フレックスタイム制を導入することで、影響をきたす可能性がある取引先企業や、対象外の他部署がある場合、導入内容の説明・連携の必要が発生します。

フレックスタイム制の適用者に対しても、制度の導入背景や目的を連携し、適切な労働管理や態度を促す機会を設けましょう。

発生しうるデメリットを防止するために、例えばコミュニケーション機会の減少に対するコアタイムでの取り組み、タスク管理に対する報連相の徹底などを呼びかけることも効果的でしょう。

4. フレックスタイム制の労使協定に関する注意点

ここからは、フレックスタイム制の労使協定に関するいくつかの注意点を解説します。

4-1. 労使協定の効力は原則として全従業員が対象となる

労使協定の効力は、原則として全従業員が対象となります。労使協定において効力の範囲が定められていない場合、その企業で働くすべての従業員が労使協定に従う必要があります。

ただし、フレックスタイム制を導入する場合は、あらかじめ労使協定において「対象となる労働者の範囲」を決める必要があります。たとえば、特定の部署や部門の従業員のみがフレックスタイム制の対象となる場合、労使協定の効力もその部署や部門に限定されます。

4-2. フレックスタイム制の清算期間が1ヶ月を超える場合は労使協定の届出が必要

フレックスタイム制の清算期間が1ヵ月以内の場合、所轄の労働基準監督署長に労使協定の届出をおこなう必要はありません。しかし、フレックスタイム制の清算期間が1ヵ月を超える場合、労働基準監督署長への届出義務が発生します。

清算期間が1か月を超える場合には、労使協定届を所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。これに違反すると、罰則(30万円以下の罰金)が科せられることがあります。

もし1ヵ月を超える清算期間を設定する場合は、労使協定届(様式第3号の3)を用意し、労使協定の写しと共に届出をおこないましょう。

なお、法改正によって令和3年4月1日以降は使用者の押印または署名が不要になりました。e-Gov電子申請を通じたオンラインの手続きも可能です。

4-3. フレックスタイム制でも36協定の締結は必須か?

結論からお伝えすると、フレックスタイム制を導入するために36協定の締結は必須ではありません。従業員一人ひとりが、清算期間内で労働時間を調整できるのであれば必要ないでしょう。

ただし、法定の労働時間の総枠を超過する労働が発生しうる場合には、36協定を締結しておく必要があります。36協定を締結せず、時間外労働をさせてしまうと労働基準法に抵触し、罰則が科される可能性があるため注意しましょう。

5. フレックスタイム制の労使協定で定める項目や注意点を確認しよう

フレックスタイム制を導入する場合、労働組合または従業員代表者と労使協定を締結し、「対象となる労働者の範囲」「清算期間」「清算期間における総労働時間」「標準となる1日の労働時間」「コアタイム(※任意)」「フレキシブルタイム(※任意)」の6つの内容を定める必要があります。

1ヵ月を超える清算期間を設定する場合は、労使協定届と労使協定の写しを所轄の労働基準監督署長に届け出ましょう。

[注1]労使協定等の労働者の過半数代表者の選出|厚生労働省
[注2]フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引|厚生労働省

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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