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所定労働時間とは?その定義や法定労働時間との違いを解説

勤怠管理システム

2023.08.29

2023.08.29

企業が独自に決めた労働時間を所定労働時間、法律で定められた労働時間を法定労働時間とよびます。法定労働時間は原則1日8時間、週40時間であり、所定労働時間はこれ以内に収める必要があります。所定労働時間の定義や計算方法、明示方法などについて確認しましょう

1. 所定労働時間の定義

所定労働時間はその企業が定めている労働時間のことです。
雇用契約を結ぶ際は雇用契約書や就業規則に労働時間が記載されていることが多いです。

この所定労働時間は休憩時間を除く実働時間のことを指します。

例えば午前9時に始業し午後5時に終業、内1時間が休憩時間の場合は所定労働時間は7時間ということになります。
所定労働時間は、8時間以内に定める必要があります。8時間以上の時間であると、法定労働時間を超えてしまうため、時間外労働の扱いになるため注意が必要です。

法定労働時間である8時間内であればよいため、6時間や7時間30分などと短縮して設定する分には問題ありません。

1-1. 所定労働時間の休憩の定義

労働時間内に休憩時間を取る権利は法律で認められています。労働の内容や雇用形態によって区別されることはありませんこの休憩時間は労働時間によっても変動します。

所定労働時間における休憩時間の定義を確認しましょう。
まず、8時間以上の労働の場合は最低でも1時間の休憩を取らなければなりません。
6時間から8時間以内の所定労働時間の場合は最低でも45分間の休憩時間が必要です。

ですが所定労働時間が6時間以内の場合は休憩時間はなくても法律的には問題ありません。
所定労働時間が6時間以内の場合は、仕事内容や従業員のモチベーションなどから判断して休憩時間の有無や休憩の時間を決定する必要があります。

1-2. 休日に労働した際の所定労働時間は?

しかし法定休日に労働する場合には、所定労働時間は存在しません。そもそも休日とは、労働の義務がない日であり、本来労働日ではないためです。
なお、労働時間が1日8時間以上、1週40時間を超過する場合、また法定休日に労働が発生する場合には、あらかじめ36協定を結ぶ必要があるため、注意しましょう。

2. 所定労働時間と法定労働時間の違いとは

一方で法定労働時間とは、法律で定められた労働時間の限度のことを指します。
原則1日8時間以内、週40時間以内と定められており、これを超えると法定外労働となり割増の残業代を支払わなければなりません。

所定労働時間が6時間の場合、その従業員が2時間の残業をした場合は法定労働時間内に収まるため割増の残業代を支払う必要はありません。

所定労働時間が6時間の企業で働いている従業員が3時間の残業をした場合は2時間は法定労働時間内の残業代、1時間は法定労働時間外の割増の残業代を支払う必要があります。

2-1. 法定労働時間を超過する場合

所定労働時間は法定労働時間内に収める必要があります。

ですが人手不足の状態や繁忙期にはこの法定労働時間を超過してしまうこともあります。
その場合は36協定とよばれる労使協定を従業員と企業の間で結ぶ必要があります。
36協定は従業員の過半数が加入している労働組合又は労働者の過半数代表と残業時間や休日出勤についての協定を定め、それを労働基準監督署長に提出するというものです。

提出し、受理された段階ではじめて法定労働時間を超過して従業員を働かせることができます。
なお、この36協定を結んだからといって無限に残業や休日出勤をさせられるわけではなく、さらに細かく1か月に45時間以内の法定外残業に留めるなどのルールがあります。

3.所定労働時間に関する計算方法

所定労働時間は法律では従業員がその企業の指揮下に置かれている時間と定められています。そのため通勤時間などは所定労働時間には含まれません。
ですが、特別な作業をしていないからといってその時間を所定労働時間に含めないという計算はできません。

企業が具体的な指示を出さなかっただけでその従業員が時間的に、場所的に拘束されているのであればそれは所定労働時間に含まれます。
始業前の清掃、就労前後の更衣、就労後の入浴などを所定労働時間に含むかどうかはその企業のルールによって違います。

企業や上司からの命令があって始業前に清掃をしなければならない場合は所定労働時間に含まれますが、自発的に清掃をおこなっている場合は所定労働時間には含みません。

作業をする上でその行為が必要不可欠なものである場合は所定労働時間に含まれます。
所定労働時間についてはよく確認し、従業員によって違いが出たり従業員から不満が出たりしないようにする必要があります。

3-1. 月平均所定労働時間とは

月平均所定労働時間は、下記の公式から算出できます。
「月平均所定労働時間=(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12ヵ月」

3-2. 残業代の計算例

残業代は、下記の公式で算出できます。

  • 「残業代=1時間あたりの基礎賃金(時給)×割増率×残業時間」

1時間あたりの基礎賃金(時給)とは、下記の公式で算出できます。

  • 「1時間あたりの基礎賃金=月給÷月平均所定労働時間数」

また、月平均所定労働時間とは、下記の公式で算出します。

  • 「月平均所定労働時間=(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12か月」

例をもちいて、実際に残業代を計算すると下記のようになります。
〈例〉月給が24万円、1日の所定労働時間が8時間、1年の休日合計日数が120日である社員が、2時間の時間外労働を行った場合

①まず、月平均所定労働時間を求めます。
(365日-120日)×8時間÷12か月=163.333・・・

②次に、1時間あたりの基礎賃金(時給)を求めます。
250,000円÷163時間=1,533.74233円
1時間あたりの賃金額や割増賃金に、1円未満の端数が発生した場合は、50銭未満を切り捨て、それ以上は切り上げをおこないます。そのため、こちらは1,534円と換算します。

③1時間あたりの基礎賃金がわかると、残業代が算出できます。時間外労働の割増手当は25%であるため、割増率には1.25をいれます。
1,534円×1.25×2時間=3,835円

よって、こちらの社員の2時間の残業代は、3,835円となります。

4. 職種や勤務体系に応じた所定労働時間

所定労働時間は1日8時間、1週40時間以内が原則として定められていますが、職種や勤務形態によっては例外や特殊ルールも生じます。
ルールに基づいた所定労働時間を設定できるよう、自社がどこにあたるのか確認することが大切です。

4-1. 変形労働時間制

変形労働時間制は平均して法定労働時間内におさまれば、特定の日に8時間、週に40時間を超える労働が可能となるのが特徴です。

変形労働時間制には1か月単位と1年単位の制度が存在します。
1か月単位の変形労働制度に関しては、厚生労働省が以下の規定をしています。

1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働
時間が40時間(特例措置対象事業場(※1)は44時間)以内となるように、労働日
および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を
超えたり、特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えたりすること
が可能になる制度です(労働基準法第32条の2)。

引用:1 1か月単位の変形労働時間制の採用方法|厚生労働省

1年単位の変形労働制度に関しては、1か月単位と同じく1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、加えて下記の労働時間の規定があります。

1日10時間、1週52時間以内(対象期間が3か月を超える場合、1週48時間を超える週の数について制限あり)、連続して労働させる日数の限度が6日(特定期間については1週に1日の休日が確保できる日数)

引用:週40時間労働制の実現 1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制|厚生労働省

4-2. フレックスタイム制

フレックスタイム制度においても、所定労働時間は存在します。
フレックスタイム制度には、1か月~3か月以内で労働時間の総枠を定める「清算期間」という概念が存在し、この期間内にあわせた所定労働時間を設定します。始業や終業のタイミングを柔軟に決められる制度ではありますが、清算期間内における所定労働時間は満たす必要があります。

4-3. 裁量労働制

裁量労働制には、所定労働時間は存在せず、労働時間の取り扱い方が通常の形態とは異なります。
裁量労働制には「みなし労働時間」といった概念が存在する点が大きな特徴です。おおよその労働時間をみなし労働として定め、その分の賃金を支払います。

例えば、5時間で業務を終えられた場合には、3時間分のみなし労働分の賃金もそのまま支払う仕組みです。裁量労働制は以下の3種類があり、法律で決められた職種のみ、導入が認められています。

  • 事業場外みなし労働時間制
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

4-4. 特例措置対象事業場の場合

特例措置対象事業場とは、行政が定めた週40時間以上の労働が可能になる業種のことです。演劇や映画などのエンタメ業、病院、小売業、さらにホテルや旅館といった宿泊施設はこの特例措置対象事業場とされています。

この場合は法定労働時間である週40時間を超過しても残業代を割増で計算する必要はありません。ですが週に44時間までと定められています。

また、あらかじめ雇用契約書などに特例措置対象事業場であることを明示しなければなりません。
特例措置対象事業場は従業員の人数が10人未満であることも条件に含まれています。

4-5. 農業・畜産・養蚕・水産の事業者

農業・畜産・養蚕・水産の事業は、自然環境により仕事が左右されることから、画一的に労働時間で管理することが不適当であると判断されています。

4-6. 管理監督者

管理監督者は、監督や管理の地位にあり、経営者と一体的な立場である労働者をさします。
随時経営的な判断をおこなうことが要求されるため、所定労働時間のみならず、法定労働時間を含む労働時間の規制も適用外となります。(労働基準法41条2号前段)

4-7. 機密事務を取り扱う労働者

機密事務を取り扱う労働者は、経営者や管理監督者の秘書などがあたります。こちらも経営者や管理監督者などと一体的に職務を遂行する立場にあるため、労働時間規制の適応外となります。(労働基準法41条2号前段)

4-8. 監視・断続的労働に従事する労働者

監視に従事する労働者は、門番、守衛、メーター監視などの精神的・身体的な負担が比較的軽い業務があたります。
断続的労働に従事する労働者は、小学校の用務員、高級職員専用乗用車運転手などといった職種があたり、実労働時間よりも手待ち時間が長いことが適用外となる理由になります。(労働基準法41条3号)

4-9. 高度プロフェッショナル制度の対象労働者

高度プロフェッショナル制度の対象労働者とは、高度の専門的な知識があり、職務範囲が明確であり、一定以上の年収を得ている労働者が対象となります。金融商品の開発や、資産運用アナリスト、研究開発の職種などが上記にあたります。
労働時間が成果と比例しないことから、労働時間や、残業代や深夜手当などの割増賃金に関する規定が適用されません。

5. パートやアルバイトなどの扱い

パートやアルバイト、派遣社員といった勤務形態にも、所定労働時間を定める必要性があります。
この場合も、法定労働時間である1日8時間、週40時間以内で定める必要がありますが、1日4時間など短くなっても問題はありません。
一方で、法定労働時間を超えた労働をおこなう場合には、36協定を締結する必要があります。

5-1. 常時10人未満の労働者

常時10人未満の労働者を使用する、特例事業(商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業など)では、法定労働時間が週44時間までと緩和されます。そのため所定労働時間もその分延長した時間設定が可能となります。
ただし1日8時間という制限に関しては変わらないため、勤務日を週6に増やすなどの管理がおこなわれることが多いです。

6. 所定労働時間の明示方法

所定労働時間は従業員が勤務を始める前に明示する必要があります。
始業時間、終業時間、さらに休憩時間は口頭だけでなく書面にも記載し、従業員がいつでも確認できるようにしなければなりません。

所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合は残業代の計算方法も事前に明示しておきましょう。「残業をしたのに残業代が割増されていない」と従業員から不満が出る可能性もあります。

9時始業なのに「始業前に30分清掃の時間がある」などの独自のルールがある場合はそれも事前に説明してください。企業の命令で清掃をしなければならない、
清掃をしなければ業務に支障が出るなどの場合は清掃時間も所定労働時間に含まれますので、8時半からタイムカードを切れるようにする必要もあります。

7. 所定労働時間は短いほうがよいのか

所定労働時間の短い企業で働くのはメリットもデメリットもあります。
メリットとしては少ない労働時間で済むためプライベートと仕事の両立がしやすいという点です。好きなことに時間を割いたり、家事や育児をしながらでも働きやすくなったりします。

一方でデメリットとしては残業代が割増にならない、休日が少なくなる可能性があるという点もあります。
所定労働時間が6時間の企業では2時間以内の残業であれば法定労働時間となり割増にはならず、損をした気分になるかもしれません。

また、1日の所定労働時間が短い分週の労働日数が増えても法定労働時間上は問題ありません。所定労働時間が8時間の場合の最低年間休日数は105日ですが所定労働時間が7時間の場合は最低年間休日数は68日です。従業員に多く出勤させるためにあらかじめ所定労働時間を短く設定し、法定労働時間内の残業をさせている企業もあるので注意してください。

週休完全二日を希望する場合、所定労働時間が短い企業で働くと休日の少なさに不満を感じる可能性もあります。

8. 所定労働時間に下回る場合の賃金計算方法

実労働時間が所定労働時間に満たない場合には、その分の賃金を控除することが可能です。
欠勤した場合には、以下の公式にて欠勤控除額を算出できます。
「欠勤控除額=月給÷所定労働日数×欠勤日数」

9. 所定労働時間を理解して従業員が働きやすい環境をつくろう

法定労働時間は法律が定める従業員の労働時間のことで、所定労働時間を定める際はこの法定労働時間内に収める必要があります。

所定労働時間が短い場合は残業代の計算なども複雑になります。事前に従業員に所定労働時間について、残業代の計算方法について明示しておく必要があります。

所定労働時間が短ければその分、従業員のプライベートな時間が増え、メリハリをつけて働いてもらえます。一方で従業員側からすると残業の割増手当てがつかない、休日が少なくなるなどの不満が出る可能性もありますので、所定労働時間が短ければいいというわけでもないことを理解しておきましょう。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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