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有給の前借りは違法?新入社員から申し出があった場合の対処法やリスクを解説

勤怠管理システム

2023.11.28

2023.11.28

有給休暇を使い切った社員や、まだ有給休暇が付与されない新入社員から、有給休暇の前借りを依頼された場合は、安易に了承しないほうがよいでしょう。また、前借りに応じる場合も、対応を誤ると法律違反で処罰される可能性があります。本記事では、有給休暇の前借りで違法になるケースや対応時の注意点について解説しています。

有給休暇の前借りが発生するのはどんな時?違法になるケースとは

有給休暇とは、条件を満たした全労働者に与えられる権利です。やむを得ない事情を除き、会社側は従業員が有給休暇を取得することを拒むことはできません。

このことから、従業員から有給休暇の前借りを依頼された際、容認すべきか否か判断に迷うこともあるでしょう。そこで、まずは有給休暇の前借りが発生する状況や法律による規定の有無、違法になるケースについて確認しましょう。

有給休暇の前借りは新入社員や中途採用社員によく発生する

有給休暇の前借りは、まだ有給休暇が付与されていない新入社員や中途採用の従業員に対して発生するケースが多いといえます。

一般的に、有給休暇は入社半年後に付与されるため、その期間に有給での休暇が必要な従業員から、前借りの申し出を受けることがあるかもしれません。

また、付与された有給休暇をすべて使い切り、残日数が0日の従業員からの依頼もあります。この場合、新たに次の有給休暇が付与されるまでは有給取得の権利がないため、前借りによる有給取得を申し出ている状況です。

前借りでの有給取得を希望する従業員がいた場合は、まずは法律という視点から可否を判断することが大切です。

有給休暇の前借りを規定する法律はない

有給休暇の前借りに関しては、法律上の規定がありません。そのため、会社側は従業員からの有給前借りの依頼を拒否することも容認することも可能です。つまり、有給休暇の前借りは、会社次第ということになります。

有給休暇の前借りは、後々の管理のことを考えて応じない方がよいでしょう。しかし、病気や家族の介護といった、やむをえない事情により、どうしてもと従業員から頼まれるケースもあるかもしれません。

もし、有給の前借りを容認する場合は、労働基準法に違反することがないよう、慎重に運用しましょう。次のケースに該当する場合、違法となりますので注意が必要です。

本年分の前借した有給休暇を次年度の付与日数から引くことは違法

前借りした有給休暇の日数分を次回付与される有給休暇から差し引くことは違法となります。

たとえば、ある従業員が有給休暇を5日分前借りしたとします。次年度に11日付与された場合、その中から5日分を差し引き、残りの6日だけしか有給取得を認めないのは違法ということです。

これは、労働基準法第39条で定められた内容と関係しています。

使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索

条文内では「勤続年数一年ごとに、所定の日数を有給休暇として付与しなくてはならない」と記されています。したがって、次年度分から前借分の有給休暇を減じた日数しか付与しないのは、労働基準法に反する行為となってしまいます。

もし前借りを認めた場合、前借りした分は次年度の付与日数から差し引くことができないため、会社の特別休暇として処理しなくてはいけません。

従業員から有給休暇の前借りを依頼された場合の3つの対処法

従業員に有給休暇の前借りを依頼されても、法律上は企業側に応じる義務はありません。

しかしながら、やむを得ない事情が認められる場合など柔軟な対応が必要になるケースもあるかもしれません。

以下では、前借りを依頼された際の対応方法を詳しく紹介します。

法定外の有給休暇を前借りさせる

労働基準法で定められている有給休暇を前借りし、次年度から引く行為は違法です。しかし、有給休暇とは別に会社独自の特別有給休暇を上乗せして付与している場合、特別休暇の前借りを認めても問題ありません。

たとえば、正社員の場合、入社日から6か月後に労総基準法上の有給休暇10日が付与されます。これとは別に会社独自で特別有給休暇を2日分上乗せしているような場合には、この2日分を前借りさせるとよいでしょう。

ただし、個別対応してしまうと、後々有給管理が複雑になってしまうので、注意が必要です。

慶弔休暇や介護休暇といった「特別休暇」を利用させる

慶弔休暇や介護休暇、バースデー休暇、リフレッシュ休暇など、目的に応じた特別休暇を会社で設定している場合は、この特別休暇で対応することが可能です。

近親者の葬儀への参列や家族の介護、本人の病気療養などのやむを得ない理由がある場合は、特別休暇を取得させるのがおすすめです。取得理由に該当するような特別休暇があれば、前借りではなく特別休暇を優先しましょう。

特別休暇は、会社独自の休暇であるため、労働基準法の規定は及びません。仮に、取得理由に該当する特別休暇がなくても、特別休暇を前借りすることに違法性はありません。

有給休暇の分割付与・前倒し付与を利用させる

有給休暇の前倒し付与とは、有給休暇の一部を分割し、基準日そのものを前倒して有給休暇を付与する制度のことをいいます。

たとえば、4/1入社の従業員の場合、入社半年後の10/1に有給休暇が付与されますが、前倒して「4/1に10日間」もしくは、「4/1に5日間、10/1に5日間」というように分割して付与することができます。

ただし、ここで気を付けたいのが基準日も前倒しされるということです。4/1に前倒しした場合は次年度の基準日も10/1ではなく4/1となるため、注意しましょう。

参照:労働基準法の一部改正の施行について|厚生労働省

有給休暇を前借りさせた場合、取得義務のある5日に含んでいいのか?

企業は一定の条件を満たした従業員に有給休暇を5日確実に取得させる義務があります。有給休暇を前借りしたり、前倒し付与した場合に取得した有給休暇は5日の取得義務にカウントできるのかどうか解説します。

そもそも有給休暇の取得義務化とは

2019年4月から始まった有給休暇の取得義務化とは、一定の条件を満たした従業員に年5日の有給休暇を確実に取得させる制度です。

対象となる従業員は、年に10日以上有給休暇が付与されたすべての従業員です。これらの従業員には、1年間で最低5日の有給休暇を取得させなければなりません。

特別休暇として前借りさせた場合

有給休暇が付与される前に特別休暇を前借りさせる場合、基本的に特別休暇を取得義務の5日に含むことはできません。

ただし、例外もあります。特別休暇が法定の有給休暇と同じ扱いであり、法定の有給休暇に日数を上乗せした場合であれば5日にカウントできます。

取得義務のある5日にカウントするには、2年の有効期限があることや繰越ができることなど、法定の有給休暇と同じ条件を満たさなければなりません。

前倒し付与した場合

法定の有給休暇を本来よりも前倒して付与する場合には、取得義務のある5日にカウントされます。有給休暇の5日取得義務は、有給休暇を付与された日から1年間有効です。そのため、有給休暇の付与自体を前倒しした場合、5日の取得義務は有給休暇を付与した日から発生し、取得した有給休暇は5日にカウントされます。

ただし、分割して前倒し付与した場合、その年の有給休暇を10日付与した時点で取得義務が発生します。そのため、4月1日、10月1日にそれぞれ5日付与した場合、10月1日から1年間で5日取得しなければなりません。そして、次の基準日は1回目に有給休暇を付与した翌年となるため4月1日になります。そのため、4月1日から10月1日までの間は、有給休暇の取得義務期間が重複することになります。

重複期間が発生した場合は、以下のいずれかで対応しなくてはなりません。

  1. それぞれの期間で5日取得させる
  2. 重複を含めた総期間で比例按分した日数分を取得させる

また、前倒し付与したのが時間単位の有給休暇だった場合は、5日の範囲外となります。時間単位の有給休暇は、そもそも取得義務のある5日に含まれないのがその理由です。

有給休暇の前借りに対応する際の注意点

前述のとおり有給休暇の前借りは、応じなくても会社としては問題ありません。しかし、従業員の前借りに応じたいという場合は、次にあげる点を留意し、注意して対応を進めましょう。

前借りした従業員が年度途中で退職してしまう可能性がある

有給休暇の前借りに応じる際は、該当の従業員が本年度中に退職することも想定したうえで、対応しなくてはなりません。

たとえば、4/1に入社した従業員に、基準日の前に5日間の有給休暇の前借りに応じたとし、その後、6/1に退職してしまった場合、基準日が来る前に会社を退職してしまったことになります。

本来であれば、5日分の給与返還請求の手続きをしたいところですが、この手続きは法的に認められない可能性が高いでしょう。この場合は、会社が有給の特別休暇を与えて前借りさせたとして処理するほかありません。

前借りに応じる際は、会社として損失を被る恐れがあることを念頭においておきましょう。

会社都合で従業員に有給の前借りを強制することはできない

会社の都合で、従業員に有給休暇の前借りを強制することはできません。なぜなら、有給休暇は、従業員の意思により取得しなくてはならないからです。

しかし、例外もあります。計画年休では、企業側が従業員の有給休暇取得日を指定することが可能です。ただし、この場合は事前に労使協定を結んでいるため、従業員も指定日に同意したと考えることができます。

また、先ほど解説した有給休暇の取得義務も、企業側が従業員ごとに時季を指定して取得させなくてはなりません。しかし、具体的な時期は従業員と相談のうえで決定するため、強制とまでは言えないでしょう。

コロナの影響などで業務が激減し、有給休暇を持たない従業員を休ませたい場合でも、有給休暇の前借りを強制的におこなうことはできないので注意しましょう。どうしても有給休暇を取得させたい場合は、特別休暇を付与したり、有給休暇を前倒し付与したりするなど、別の方法で対処する必要があります。

有給休暇の管理負担が増加する

従業員の前借りを1人でも認めてしまうと、他の従業員からも同様の依頼を受ける可能性があります。前借りの前例がある以上、対応しなければ不公平な扱いになってしまいます。

しかし、有給の前借りを認めると、前借りした分と本来の有給休暇付与分とを調整する手間が生じ、前借り対象者が多くなるほど、会社にとって労務管理の負担が増加してしまうでしょう。

また、管理が煩雑化することで有給休暇の消化や付与にミスが生じ、労働基準法に抵触するなど、会社が損失を被る恐れもあります。有給前借りの前例を作ってしまうと、全従業員に対し同様の対応が必要になるため、前借りは原則的に応じないほうが良いでしょう。

有給休暇の前借りは、企業にとって不利益となる可能性がある

従業員が有給休暇の前借りを希望した際、対処の仕方によっては違法性なく有給休暇の前借りをさせることができます。しかし、繰り返しになりますが、前借りを容認することは企業の義務ではないので、応じなくても何ら問題はありません。

もし、従業員からの有給休暇の前借りに応じるた際は、次年度分の有給休暇付与日数から差し引くことは違法となりますので注意しましょう。

この場合は、会社独自で設定している特別休暇から前借りするか、有給休暇の分割付与を利用するなどの方法によって対応しなくてはなりません。

また、前借りした従業員が退職しても給与の返還請求できないことや、管理の煩雑化によりミスや法令違反が生じるリスクがあります。

そのため、有給休暇の前借りは、企業にとって不利益となる可能性があることを十分に理解し、その上で容認すべきか否かを判断しましょう。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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